定年後の年月は、以前と比べると長すぎるほどになっています。以前といっても人によって感覚が違っているので、多くの人が知っている磯野波平さん(サザエさんの父親)を例にあげると、設定年齢は54歳です。
原作の漫画では1895年(明治28年)生まれで、54歳の1949年(昭和24年)には定年は50歳で、1951年には60歳になりました。波平さんは定年間近という設定だったので、55歳が定年の比較的条件のよい会社に勤めていたと思われます。
1949年の平均寿命は男性が56.2歳でした。定年してから数年で亡くなるということで、今でいったら70代ギリギリまで働くことができたような状況です。
現在の平均寿命(2022年)は男性が81.05歳、女性が87.09歳で、終戦後(1947年)に発表された平均寿命は50歳でした。そのときと比べると30年も長生きになっています。30年といえば一世代分の長さです。女性の初産年齢は30.9歳(2021年)です。
この長い期間を、いかに有効に使うかは個人の問題だけでなく、社会的にも重要な課題となってきているのですが、ただ30年も平均寿命が延びただけではありません。
現役世代として働くのは以前は60歳までとされてきましたが、定年年齢は徐々に引き上げられ、2025年4月からは65歳までの雇用が義務づけられます。70歳までの雇用は努力義務となります。
人生を20年ずつ区切って考えてみると、小学校に通い始める6歳から25歳までは学ぶ期間であり、自分のことだけに当てることができる20年間といえます。これに続く26歳から65歳までは個人によって違いはあるとしても、仕事をしていて、家族のためにも時間をかける40年間とされます。そのため、自分のために使うことができるのは3分の1と考えることができます。
66歳から85歳までの20年間は、稼ぐための仕事と家族に当てる時間は少なくてもよいので、ほとんどを自分のことだけに当てることができる時間と考えることができます。平均寿命が男性は81歳ほどなのに、なぜ85歳までと計算したのかというと、平均寿命のマジックがあるからです。
一般に平均寿命と呼ばれているのは0歳児の平均余命で、生まれたばかりの子どもが同じ社会状態、同じ環境が続いたとすると何歳まで生きられるかという予測値です。5歳刻みで平均余命が発表されていて、65歳の男性(2023年)は19.44年なので84.44歳、女性は24.30年なので89.30歳の計算となります。
男性でも健康に気づかっている人なら85歳まで生きることができるというのが計算の裏付けです。
65歳を過ぎたら、それまでの20年間の3倍もの自由になる時間があることになるので、その時間を是非とも次世代のために役立つことに使ってほしいという願いがあります。このことを健康づくりの活動に参加される方々に伝えています。これは自分に向けてのメッセージでもあります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕