厚生労働省から、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が発表されました。
これは「健康づくりのための睡眠指針2014」から10年が経過して、現状に合わせた新たなガイドラインの必要性が高まってきたことを踏まえて作成されたものです。
以下に、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に関する文書を掲載します。
1.はじめに
(1)健康づくりにおける睡眠の意義
睡眠は、こども、成人、高齢者のいずれの年代においても健康増進。維持に不可欠な休養活動である。睡眠不足は、日中の眠気や疲労に加え、頭痛等の心身愁訴の増加、情動不安定、注意力や判断力の低下に関連する作業効率の低下、学業成績の低下等、多岐にわたる影響を及ぼし、事故等の重大な結果を招く場合もある。
また、睡眠不足を含め、様々な睡眠の問題が慢性化すると、肥満、高血圧、2型糖尿病、心疾患や脳血管疾患の発症リスクの上昇や症状の悪化に関連し、死亡率の上昇にも関与することが明らかとなっている。
また、うつ病などの精神疾患においても、発症初期から睡眠の問題が出現し、再燃・再発リスクを高めることが知られているとともに、睡眠の問題自体が精神障害の発症リスクを高めるという報告もある。
そのため、日常的に質(睡眠休養感)・量(睡眠時間)ともに十分な睡眠を確保することにより、心身の健康を保持し、生活の質を高めていくことは極めて重要である。
一方で、令和元年の国民健康・栄養調査結果において、1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合は、男性37.5%、女性40.6%であり、性・年齢階級別にみると、男性の30〜50歳代、女性の40〜50歳代では4割を占めていた。
また、令和3年のOECD(経済協力開発機構)の調査報告でも、日本人の平均睡眠時間は加盟33カ国の中で最も短かった。国民一人ひとりの十分な睡眠の確保は重要な健康課題といえる。
こうした現状を踏まえ、健康増進の観点から、「適正な睡眠時間の確保」と「睡眠休養感の向上」が、全ての国民が取り組むべき重要課題であるとともに、我が国の健康寿命の延伸に有意義であると考えられる。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕