日本人は欧米人とは異なる体質を持っているだけでなく、アジア各国の人たちと比べて見ても異なった体質となっています。日本に近い中国や韓国、モンゴルなどの東アジアの人たちは日本人と似た顔つきと体格をしていますが、身体の中は大きく異なっています。
最も大きな違いは伝統的な食生活によって培われた代謝の能力で、北方系の人々は肉を中心とした食生活のために動物性たんぱく質と脂肪を分解する能力が高く、アミノ酸を効率よく身体の中に取り入れて筋肉を増やし、臓器の状態を保つ能力に優れています。脂肪酸の代謝力は、欧米人と同様に高い能力を持っています。
多民族国家である中国の主流(90%以上)を占める漢民族は北方系の出身で、肉食が多かったことから肉食に適した体質となっています。中国人は、比較的長身で、やせている印象が抱かれていましたが、今では経済発展によって食糧事情が変わり、20年ほど前には1日の摂取エネルギー量は2000kcalほどだったのが今では3100kcalにも増えています。
これは都市部だけのことではなく、国民全体での統計で、いかに国民的に食べているかがわかります。肥満大国と呼ばれるアメリカでは3700kcalにも達していますが、増加傾向が緩やかなアメリカ人に対して、中国人の摂取エネルギー量は今後も増え続けると予測されています。
平均して1日に2000kcalほどしか食べていない日本人が、今後1000kcalも多く摂ったとしたら健康被害が増えることは容易に想像がつきます。中国人は欧米人と同じ肉食民族であることから、それほど大きな健康被害は出ないと考えられています。
しかし、肥満による糖尿病や高血圧症、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)など血管に大きな負担をかける疾患が今後、大きく増えていくことは当然、考えられます。
やはり経済成長が著しいインドは1日の摂取エネルギー量が1000kcalほども増えました。1日の消費エネルギー量のうち約70%は生命維持のために使われる基礎代謝で、そのうちの70%ほどは体熱の産生のために使われています。
温かな国では体熱を多く作り出す必要がないことから、全体の摂取エネルギー量が少なくて済みます。インドは温かな国だけあって、以前は1500kcalほどで済んでいました。ところが、著しい経済発展に伴って食事量が多くなり、今では2500kcalにも達しています。
インドでは宗教上の問題で牛肉も豚肉も食べないと思われがちですが、牛肉を禁じている宗教と豚肉を禁じている宗教があり、どちらかを食べている上に鶏肉や他の肉類も食べています。以前は菜食主義者が40%とも言われていましたが、今では肉食が急激に増えたことが1000kcalの増加の要因となっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕