体質との調和21 加齢による肉食の変化

肉食民族は高齢になっても、歴史的に肉類を食べてきたことから、脂肪を分解する胆汁酸が多く分泌されます。胆汁酸は胆嚢から十二指腸に分泌されますが、その原料となっているのは肝臓に蓄えられているコレステロールです。

日本人はコレステロールが多く含まれる肉類を多く食べてこなかったために、肝臓のコレステロール蓄積量が少なくなっています。日本人は長生きした歴史がなかったことから、高齢になって脂肪を摂ることが少なく、分泌量を増やす必要がなく、それが分泌量を大きく低下させる結果となっています。

そのために、日本人は高齢になると多くの人は肉を多く食べられなくなっていくのに対して、中国や韓国、インドなどの人たちは年齢を重ねても胆汁酸が多く分泌されて、脂肪を分解することができます。そのために肉類を多くの量を食べることができる体質となっています。

世界の長寿地域の食事を見ると、主食は、ご飯、パン、いもなど、それぞれ主に食べるものに違いはあっても主菜の肉類は共通しています。欧米人の食生活を見ると、肉が主食と言ってもよいほどの量となっています。これまでの常識では、肉食が多いことは生活習慣病の大きな原因になるということで、日本では長寿食とされることは過去にはありませんでした。

しかし、長寿者の研究が進むにつれて、高齢者の身体機能を保持するためには動物性たんぱく質が必要で、実際に長寿者の食生活を調べた結果、元気で長生きの人は肉食が多いことが判明しました。そこで、 我が国でも「高齢者(65歳以降)は肉を食べろ」と言われるようになりました。

肉類にはコレステロールが多く含まれ、動脈硬化の要因になるということで、過去には動物性たんぱく質は魚類で摂るのがよいとされてきましたが、コレステロールの摂取と動脈硬化のリスクは、中高年までは比例するデータも見られました。

しかし、高齢者の場合にはコレステロールを摂ったほうが健康度は高く、動脈硬化になりやすい人は65歳になる前に病気になっています。つまり65歳を超えた人はコレステロールのリスクに打ち克ってきた人であることから、肉食のメリットのほうを求めるようになったといえます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕