欧米人と同じだけの量のコレステロールを日本人が摂ったとすると、その吸収率は20%も高いとの研究結果があります。これは日本人が長い歴史の中で低栄養の時代が長かったために、脂肪を効率的に吸収できるように身体が変化したためだと説明されています。
日本人は腸が長いことが知られています。欧米人に比べて身体が小さいのに腸が2mも長くなったのは、腸壁の表面積を増やして吸収する場所が増えることで吸収される量を増やすための進化だと考えられています。
低栄養の時代にはメリットとなる特異な体質でしたが、食生活が変わったために今ではデメリットとなっています。コレステロールの吸収がよい体質の日本人がコレステロールを多く摂ったら、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLが血液中に増えすぎて、動脈硬化のリスクが高まることになります。
血液中のLDLが多くなると、血液中の余分なコレステロールを運び去る働きをする善玉コレステロールと呼ばれるHDLも多く作られるようになるのが通常のパターンです。ところが、日本人は歴史的にLDLを多く摂ることがなかったために、HDLを作り出す能力が低くなっています。
LDLは、食事でコレステロールが多く含まれる食事が継続されたり、全体的に摂取エネルギー量が増えると多くなっていきます。それに対して、HDLを増やす成分としては不飽和脂肪酸のDHA、EPAが認められている程度です。
しかも、DHAやEPA多く摂ったからといっても、それに比例してHDLが増えるわけではありません。食事以外では有酸素運動によってHDLが増やせることが確認されています。
このほかに食事で摂るエネルギー量が多くなると、肝臓で合成される中性脂肪も多くなりやすく、それも動脈硬化を進める要因になっています。これも低栄養の時代には生き残りのための優れた体質でしたが、今では危険度を高める体質ともなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕