セカンドステージ2 平均寿命と定年延長の変遷

定年退職は現在では60歳から65歳までに延び、65歳以上を高齢者とする現在の認識の年齢まで、企業などで働くことができるようになっています。定年退職の年齢は、日本人の平均寿命の高まりにつれて延長されてきました。

その例として、よくあげられるのは、国民的漫画「サザエさん」の父親の磯野波平さんの年齢です。波平さんの年齢は54歳で、原作の設定では1895年(明治28年)9月14日に生まれたことになっています。54歳の時点では1949年(昭和24年)で、終戦(1945年)から4年後です。

日曜日の夕方のアニメの「サザエさん」はスポンサーが家電メーカーであることから近代的な家庭風景になっていますが、1949年といえば、まだまだ高度経済成長が始まる以前のことで、洗濯機も冷蔵庫も家庭にあるのは珍しい時代でした。

その当時の平均寿命は、男性が56.23歳、女性が59.80歳でした。定年が60歳になったのは1951年のことで、それまでは50歳定年が一般的でした。大企業などでは55歳定年が実施されていたので、波平さんは恵まれた職場環境ということになりますが、それでも定年間近の設定です。

当時の平均寿命からすると、定年してから残されているのは1年ほどで、体力的には随分と低下してからの定年退職であったので、「第二の人生」は、それほど長いものではなかったわけです。

その第二の人生は、今では65歳で退職しても随分と長くなりました。平均寿命(2022年)は男性81.47歳、女性87.57歳で、男性で16年以上、女性で22年以上にもなっています。しかし、平均寿命と健康寿命(医療と介護に頼りきりにならずに自由に過ごせる期間)との差は男性が約9年、女性が約12年になっています。

これを差し引くと定年後に元気で過ごせる期間の平均は、男性で7年、女性で約10年になります。あくまで平均ですが、過去の経験や知識を活かし、社会に貢献できる期間は、まだまだ長いことがわかります。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕