紅麹を用いた機能性表示食品の健康被害が相次いで報道されたとき、テレビ局を初めとした全国メディアから複数の問い合わせがありました。テレビの全国キー局では、専門家のコメントが間に合わず、情報番組では通常のコメンテーターがコメントしたために、専門家ならずとも頓珍漢(トンチンカン)と感じる発言を、各局の番組で見かけました。
機能性表示食品は国の審査を受けたものではなく、届け出をすれば機能性表示食品として販売できるものですが、その一点だけを捉えてのコメントがありました。そして、機能性表示食品制度の危険性を述べるシーンが相次いで、機能性表示食品だけでなく、他の健康食品を製造・販売する企業からも苦情が入ったとのことでした。
テレビ番組の広告の出稿数が減り、広告収入も下がっている中、機能性表示食品は放送局にとっては大きな稼ぎの元になっています。誤ったイメージが視聴者に広がるのは困ったことであるということで、あちこちに情報集めをしたようで、そのうちの1人に私も入れられていました。
特定保健用食品(トクホ)とは違って、機能性表示食品は個別の商品で審査されているわけではありません。自社で機能を試験して、その結果を消費者庁に届け出して、不備がなければ機能性表示食品と表示することが認められるという制度です。
それだけでなく、機能性の研究論文を根拠として届け出することでも認められる制度で、さらに、すでに機能性表示食品として認められた商品と同じ研究論文を根拠とすることもできます。
商品で試験をした場合と、研究論文を根拠とした場合では、広告の表示が違っていて、前者は「〜が認められています」、後者は「〜と報告されています」と使い分けられています。
このことは、できれば消費者に知られたくないことで、だからコメンテーターの口からも聞かれてはいません。
こういったことに気づくのは、業界や制度について知っているからで、よく知らない世界では、間違ったことが伝えられても、コメンテーターが何かの意図があって発言をしても判別がつかないことになります。
そういった間違った情報が平気で流されている可能性が高い、ということを再認識させられた機会でもありました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕