偽る脳力10 やりたいことを優先させる決断

秋葉原で始まった大人数の女性アイドルグループの活動は自分が発案者で、横取りされたと言う人に会ったのは4回もあります。

事情通に確かめて、話を盛っていない事実を語っているプロデューサーと会って、新たな展開についてアドバイスをしたことがあります。その方は男性アイドルグループで業界トップであった会社でも仕事をしていて、男性グループでは横やりが入ることから女性グループに目をつけて、さらにオタクの応援という新たな切り口での提案をしていました。

誰がアイデアを出したということより、誰が先にメディアに取り上げさせたかが優先される業界だけに、横取りをした人が悪いと言っても仕方がないことです。そこで二つの方向性を示しました。

一つは、メディアに出ない地下アイドルで、大人数ではなく、両手で数えられるくらいの女性グループです。大人数の女性アイドルグループは、徐々にオタク路線から一般対象に拡げていくことはわかっていたので、あくまでオタクの味方という路線での対抗でした。

オタクに支えられている地下アイドルは、すでに何組かあったので、特徴を出すために、CDを買っても会えない(握手もできない)、チケットを購入しても会えないという特別なグループにするという戦略を考えました。大手スポンサーとの提携で、テレビCMにだけ登場して、CMを見た回数をスマホのアプリでカウントして、一定数に達した人から順番に人数限定のイベントに参加できるという方法です。

何度もCMを見ているので脳に情報が刷り込まれているうえに、会場には他では購入できないスポンサーの商品を並べておきます。この限定商品がSNSで拡散して、多くの人がCMを見るという戦術でした。

自分も女性アイドルグループで稼ぎたい、他の人が考えつかない方法で臨みたいという意向であったことから提案をしました。そして、スポンサー候補も紹介していました。
ところが、プロデューサーが選択したのは地下アイドルを、オタクだけの応援対象にして、大人数の女性アイドルグループのファンを取り込むことと、限定グッズは自社商品だけにして、大手スポンサーは入れないという部分的な決断でした。

これまでの手法を超えるために「偽る脳力」を発揮すると言っていたことから、発想を大きく変えた対案をしたわけですが、考えを変えることになった理由を聞いたところ「地下アイドルであっても、いつかは日の目を当ててあげたい」という業界人の普通の発想での判断を聞かされました。

地下アイドル界では、それなりに知られるグループにはなったものの、他の人が考えつかない方法ではなかったことから、その稼ぎは期待とは雲泥の差でした。やりたいことを後回しにしても「偽る脳力」を発揮して選択をして、大きな結果を得ることができなかった例として書き残すことにしました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕