睡眠ガイド8 病気の影響による睡眠休養感の低下の可能性

厚生労働省から、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が発表されました。
以下に、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の健康に関する基本事項の「病気の影響による睡眠休養感の低下の可能性」を紹介します。

〔病気の影響による睡眠休養感の低下の可能性〕
閉塞性睡眠時無呼吸のような睡眠障害が潜んでいると、睡眠環境、生活習慣、嗜好品のとり方などを改善しても睡眠休養感が十分に得られないかもしれません。

うつ病などの精神疾患では、高い確率で併存する不眠症状や過眠症状のために睡眠が短くなったり長くなったりし、睡眠休養感が慢性的に得られにくいこともあります。

慢性的な消耗性の病気を患うと、睡眠休養感がないのは睡眠に問題があるせいなのか、あるいは病気の状態が悪いせいなのかの区別が難しいこともあります。

そのため、本ガイドで推奨されている事柄を活用しても睡眠状態の改善が十分に得られない場合は。医師に相談することをお勧めします。

〔睡眠時間の主観的評価の限界について〕
睡眠時間に関する研究の多くは、自己申告に基づき、主観的な睡眠時間と健康状態の関連を調べたものです。これによると、睡眠時間が短すぎるだけでなく、長すぎる場合も不良な健康状態と関連します。

一方で、脳波や活動量計を用い、客観的な睡眠時間を調査した場合、短時間睡眠が不良な健康状態と関連するのは同様ですが、長時間睡眠と健康状態との関連はほぼみられなくなります。

ただし、客観的な睡眠時間ではなく、客観的な床上時間が長いことと不良な健康状態には関連があるようです。さらに、高齢世代においては、こうした主観的な睡眠時間と客観的な睡眠時間のずれ自体が、不良な健康状態を予測する目安となる可能性も示されています。

自覚する睡眠時間は床上時間を反映しやすく、やや不正確である可能性があることを知っておく必要があります。睡眠時間を十分確保しているにもかかわらず睡眠休養感が低下した場合、医療機関などで原因を詳しく調べてもらう必要があります。

近年、自宅で簡便に睡眠時間を計測する簡易機器の開発が活発に進められています。現時点では、安価で購入可能な機器においては、計測精度の高さは十分とは言い難いかもしれませんが、こうした簡易機器を用いて自分自身で管理することができる時代が近づいていると思われます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕