超高齢社会を迎えている中、平均寿命の延伸だけでなく、いかに健康で長生きできるかが重要な課題となっています。国民の健康増進のための基本的な方針である「健康日本21」や「循環器病対策推進基本計画」等においても、健康寿命の延伸が第一の目標として掲げられています。
京都府立医科大学大学院医学研究科、京都府健康福祉部の研究グループは、これまで疾病負荷を統合した健康寿命の指標(HCAL:health condition withoutactivity limitation)をAI/機械学習を用いて開発し、健康寿命に大きな影響を与える要因が、うつ病などこころの病気、腰痛や骨折など筋骨格系の問題、脳神経疾患などであることを報告してきました。
健康寿命の延伸には身体活動の増加が重要であり、中でもウォーキングは最も手軽にできる運動となっています。心血管病発症は7200歩/日、死亡は8800歩/日まで1日歩数が増加するに伴い、リスクが低下することが最近のメタ解析(複数論文の統合解析)で報告されていました。
しかし、1日歩数と健康寿命の関係については不明なままでした。
この研究では、全国の国民生活基礎調査票と国民健康栄養調査票データをもとに、健康寿命のAI指標(HCAL)を用いて、1日歩数と健康寿命の関係を明らかにして、健康寿命を延伸するための1日のウォーキング目標歩数を提唱することを目指しました。
日本では国民生活基礎調査を行い、年齢別も日常生活での活動制限(主指標)や自覚的な健康状態(副指標)を生命表に組み入れて健康寿命を算出しています。アメリカやイギリスでも、活動制限の有無や自覚的な健康状態について同様のアンケート調査を行うことで健康寿命を求めています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕