酸素の摂取量が減ると脳が正常に働かなくなっていきます。仕事がはかどらなくなったり、疲れが蓄積してきたときには酸素を吸入することで回復させることができます。これは脳細胞のエネルギー源になるブドウ糖をエネルギー化させるために多くの酸素が必要になっているからです。
日常生活では酸素が不足して脳がエネルギー不足になるようなことはないのですが、ある条件の人は脳が酸素不足になって、充分なエネルギーが作られなくなることがあります。その条件の人というのは。肥満と呼ばれるほど太って、脂肪細胞の中に多くの脂肪(中性脂肪)が蓄積されている人のことです。
脂肪細胞というと、脂肪が蓄積されているだけの貯蔵庫のようなイメージがあるかもしれません。ところが、実際には脂肪細胞には数多くの血管が張り巡らされていて、血管を通して血液が出入りしています。
脂肪細胞は、成人の場合には約300億個とされていて、脂肪細胞に蓄積される脂肪が増えていくと、脂肪細胞は風船のように膨らんで、限界まで膨らむと数を増やして貯蔵するようになります。肥満になると400億〜600億個にもなります。
必要以上に体脂肪を蓄えると脂肪細胞に流れる血液量が増えていきます。太っている人は、脂肪細胞に回る血液が増えた分だけ、全身に回る血液量が減ることになります。
脳に使われる酸素量は全身に必要な酸素の約25%にもなります。これは安静時の消費量で、脳をフル回転させている状態では最大で50%にも達するとされています。
脳は全重量の2%ほどであるのに、全体のエネルギー量の20%ほどが使われています。そのエネルギーを作るために必要な酸素も多く必要となっています。酸素が不足した状態になると、脳は充分なエネルギーを作り出すことができなくなって、脳の機能が低下することになるというわけです。
多くの酸素を必要とする脳には神経細胞が約1000億個もあります。その一つひとつに酸素を送り届けるために、毛細血管が張り巡らされています。
脂肪細胞の中に蓄積された脂肪は常に分解されて、血液中に放出されています。そのために、太っている人は血液中の中性脂肪が多くなり、血液がドロドロ状態になって血流が低下しやすくなるだけでなく、動脈硬化が進みやすくなり、さらに血流が低下するようになります。
脳に充分な酸素を送り続けるためにも、太りすぎないように、少なくとも脂肪細胞の数を増やしすぎないように、日常生活に注意することが大切になるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕