労働安全衛生法が1988年に改正され、健康保持増進が事業者の努力義務となったことをきっかけにしてTHP運動が始まりました。THPは 「Total Health Promotion Plan」の略称で、働く人の心身の健康づくりを目指して、企業が取り組む計画を指しています。
THP運動では、医師の診断に基づき、栄養、運動、保健、心理の各指導が実施され、各分野の専門家(産業栄養指導者、ヘルスケア・トレーナー、産業保健指導者、心理相談員)が組織されました。
また、THP運動の連携のためにTHP指導者会が設立され、これを構成する産業栄養指導者会、ヘルスケア・トレーナー会、産業保健指導者会、心理相談員会と連携が進められてきました。
これによって、健康づくりは栄養や運動といった単独の方法で対応するのではなく、それぞれの人の状態によって、複数の対応をする方向となっていきました。ただ、その方法は栄養、運動、保健、心理に限られる(重視される?)ことが多く、必ずしも的確な方法が提供されていると言える状態ではなかったのは事実です。
2008年から特定健診・特定保健指導が始まりました。これは企業や団体などで働く人に限らず、40歳以上74歳未満のすべての被保険者・被扶養者を対象に、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防を目的としたもので、結果に基づいて必要に応じて保健指導が行われています。
従来の健康診断は生活習慣病の早期発見・早期治療が重視されてきましたが、内臓脂肪の過剰蓄積による糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧などの動脈硬化の予防・改善が重視されることになりました。
特定健診・特定保健指導は企業で働く人と家族だけでなく、地域住民も対象として実施されましたが、地域住民への浸透度は低く、受診率の向上は重要なテーマとなりながらも進まない状態は今も続いています。
それだけに、健康づくりの方法を企業・団体、地域などの特性に合わせて実施するためのサポートとしての健康管理指導が期待されるようになっています。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕