睡眠ガイド17 夜ふかし・朝寝坊に対する注意1

厚生労働省から、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が発表されました。
以下に、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」のこども版の「夜ふかし・朝寝坊に対する注意」(前半)を紹介します。

〔夜ふかしが生じる原因〕
思春期が始まる頃から睡眠・覚醒リズムが後退し、睡眠の導入に関わるホルモン(メラトニン)の分泌開始時刻が遅れることで、夜寝る時刻が遅くなり、朝起きるのが難しくなる傾向がみられます。

さらに、社会的な要因も夜ふかしに影響します。部活動や勉強、友人とのつきあい、デジタル機器の使用などで、夜遅くまで活動することが増えますが、朝は学校に遅刻しないよう起床する必要があるので睡眠不足になりやすく、睡眠負債が蓄積しやすくなります。

学校のない休日は、睡眠負債を解消するために起床時刻を遅らせることにより、午前中の時間帯に日光を浴びることができず、睡眠・覚醒リズムは後退しやすくなります。思春期以降、社会人になるまでの時期は、最も夜ふかし、睡眠不足、休日の朝寝坊が生じやすくなるといえます。

〔夜ふかしを習慣化させないための工夫〕
夜ふかし・朝寝坊の習慣が長く続くと、朝起きることが難しくなり、遅刻が増加したり、登校が困難になったりすることもあります。これは睡眠・覚醒相後退障害と呼ばれる睡眠障害の一つであり、自分の意志だけでは睡眠・覚醒リズムの乱れ(後退)や蓄積した睡眠不足(睡眠負債)に抗うことができなくなった結果とも考えられています。

また、睡眠・覚醒相後退障害の6割近くに起立性調整障害を合併すると報告されています。この状態になると、二次的に学業の遅れや、友人関係の障害が進行しやすいため、できるだけ早く医師に相談することが重要ですが、このような状態に陥らないためには予防対策が重要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕