体温が高いと血液の流れがよくなり、免疫も高まることが知られています。体温が1℃高くなると免疫力は5〜6倍も高まると伝えられていますが、今の体温から1℃高まることで誰もが同じように免疫力が高まるわけではありません。
基準となる体温があって、それよりも低かったら、1℃の高まりでは足りなくなります。そのことが伝わっていないと、体温を高める効果が得られにくくなります。
その基準となる体温は36.5℃で、そこから1℃となると37.5℃となり、これでは熱が出ている状態になる人も少なくありません。風邪をひくと体温が上がるのは、免疫細胞の働きを高めるためのことで、免疫細胞の白血球やリンパ球が原因となる菌やウイルスを退治したら、体温は元の状態に戻っていきます。
解熱剤を使って熱を下げることは、かえって治りにくくなると説明されることがあるのは、こういった理由があるからです。
なぜ感染すると体温が上がるのかという理由ですが、白血球からサイトカインという生理活性物質が分泌されるからで、そのうちにプロスタグランジンには体温調整中枢を刺激して、体温を保つための設定温度を上昇させる仕組みがあるからです。
それだけ体温の保持は重要であるので、全身の細胞で作り出されたエネルギーの多くは体温を高めるために使われています。1日に必要なエネルギーのうち70%ほどは基礎代謝で、生命維持のために使われています。そのほかの活動代謝は約20%、食後の体熱産生は約10%となっています。
基礎代謝のうち約70%は体熱を作り出すために使われているので、「70%×70%=49%」となり、1日の消費エネルギー量の半分ほどは体温の保持に使われていることになります。
血液の温度は日本人の場合は37〜38℃の範囲にあって、血流が低下すると皮膚からの放熱に血液による温度の補充が間に合わなくなり、冷える状態となります。手足の先が冷えやすいのは、血流が低下すると末梢血管に血液が回りにくくなるためです。
体温が低い人は、これを補わなければならないために、多くのエネルギーを作り出す必要があります。食事で摂ったエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)が体熱を高める元になるので、まずは食事の量を確保することが重要になります。
エネルギー源を食べれば自動的にエネルギーが作られるわけではなくて、細胞の中のミトコンドリアに取り込まれた後にエネルギー化されるためには水溶性ビタミンのビタミンB群とミネラルが豊富に必要になります。
そして、ミトコンドリアの中でのエネルギー代謝は酸素を使って盛んに行われるようになるので、身体を動かして酸素を多く吸い込むことも大切になるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕