テレビのニュース番組で、新しい公園のオープンを伝えていて、そのときに「こけら落とし」という言葉を使っていました。これには違和感を感じるというよりも、誤った使い方で、アナウンサーの教育の中で習わなかったのだろうかと思うことがあります。
「こけら」は漢字では杮と書きます。この漢字を「柿」(かき)と読んでしまったら、もしも「杮落とし」と書かれていたら「かきおとし」と読んで、木になっている柿の実を落とすことと思ってしまうかもしれません。
このことを文字として残したいと考えたときに、一つ心配事がありました。それは漢字のフォントです。別の漢字なのにパソコンの書体データによって同じ漢字で描かれてしまい、肝心な違いがわからなくなることです。
この文章を打ち込むために使っているパソコンのソフトでは「杮」(こけら)も「柿」(かき)も同じ形で出てきてしまいます。柿(かき)のほうが親しみがある漢字なので先に紹介すると右上は点になっているので右側は五画ですが、杮(こけら)は縦棒がつながっている四画です。
本来なら、こう違うと表現したかったのですが、JIS規格(日本産業規格)では包摂されています。包摂というのは大きな範囲にまとめることで、要は同じ文字でも構わないということになっています。ということで、このコラムは非常に書きにくくて、これまでは触れないできていました。
杮(こけら)は木を削ったときに出る細片のことで、建物を建てたときに杮(こけら)を落として完成させます。だから、完成してスタートすることを「杮落とし」というのです。建物に使う言葉であって、建物以外で新たにスタート、オープンするものに「杮落とし」という言葉を使うのは間違いだということになります。
このようなことを考え、しっかりと使い分けることを習慣化することも認知機能を高める重要な脳トレになるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕