「昔々あるところに」というのは昔話の初めの言葉ですが、今は「ありとあらゆるところに」と言わなければならないほど高齢者だらけの世の中になりました。65歳以上の高齢者は3622万人で、高齢化率は30.1%にもなっています。
以前は高齢化社会と言われましたが、高齢化社会は高齢化率が7%を超えた場合で、日本は1970年に高齢化社会に突入しています。14%以上が高齢社会で、これには1994年に突入しました。
そして、2007年に高齢化率が21%を超えて、超高齢社会に突入しました。これ以降は、どれだけ高齢化率が高まっても超高齢社会で変わりはありません。
その超高齢社会の状況が大きく変わったのは2018年のことで、それまでは前期高齢者(65〜74歳)の数が後期高齢者(75歳以上)の数を上回っていたのですが、この年の3月に後期高齢者の数が初めて前期高齢者の数を超えました。それ以降は後期高齢者の数は増える一方となっています。
認知機能は年齢を重ねるほど低下していく傾向があり、超高齢社会、それも後期高齢者の急増は認知症を急増させることになります。推計では、2025年には認知症患者は700万人に達して、5人に1人の割合になるとみられています。認知症の予備群とされる軽度認知障害も同数いると考えられていて、2.5人に1人が認知症か軽度認知障害という恐ろしい状況になってしまいます。
今回のテーマの認知機能と発達障害についてですが、発達障害は生まれつきの脳の発達がズレている特性で、発達障害の割合は10人に1人とされています。自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害が三大障害とされていますが、子どもだけの特性ではなく、一生涯続くものです。
子どものときには感情が抑えられなかったのが大人になると発達障害が見えにくくなることから、気づかれないことがあります。ところが、高齢者になると全身の機能の低下や自律神経のバランスの崩れとともに感情を抑えられなくなり、再び発達障害が目立つようになります。
高齢者となって認知機能が低下して、これに発達障害が重なると、2.5人に1人の割合どころか、もっと危機的な割合にもなりかねません。これまでの脳トレをしていれば、なんとかなるというような状況ではなくなり、これまでの社会システムを考え直さないといけない状況にもなりかねないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕