忘れる脳力17 ゼロベースでの再構築

人間には「こだわり」の気持ちがあって、必要ではない、忘れたほうがよいということであって、それは頭ではわかっていても行動に移せないことが多々あります。こだわりがあるために、これまでのことを完全に忘れて、新たなことに踏み出そうとしても結果が出せない、決断が下せないということにもなります。

決断は、断つことを決めることで、完全に断つことを決めないことには、本当の意味での決断にはならないと言われます。どこまで忘れられるか、完全に忘れることができるかという切り替えが決断であり、それなくして再スタートは難しくなります。

その完全に忘れることを端的に表したのが、今回のお題として掲げている「ゼロベースでの再構築」です。

物事が進まないときには、立ち止まってみて、振り返り、周囲の状況を把握して、どの方向に進むべきか、止まるべきか、それとも引き返すべきなのかを判断することになります。その判断の事例は、ゴーストライターとして活動しているときに150冊の書籍の取材をする中で、もう嫌というほど見聞きしてきました。

そのときの経験だけから判断すると、何をするにしても、これまでやってきたこと、自分にとって優位なことを基盤にして、余計なものを切り離して、できるだけ優位なことを残すというのが成功の秘訣とされてきたところがあります。

削る部分が少ないほど成功しやすいという感覚で、人脈も金脈も残せるだけ残そうというのが当たり前で、そのような人ばかりでした。しかし、それが通用するのは、これまでの状況や常識が今後も続くという大前提があるときで、これまでの常識が“非常識”になるような時代・状況では、むしろ危険なこと、“失敗の秘訣”にもなりかねないことです。

小手先の変化、自分の常識はスッパリと忘れて(捨てて)、完全に「ゼロベースでの再構築」に取り組まなければならないと口では言っていても、その通りにできないがために、周囲に大きな迷惑をかけている例も数多く見てきました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕