厚生労働省から、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が発表されました。
以下に、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の高齢者版の「長時間の睡眠による健康リスク」を紹介します。
〔長時間の睡眠による健康リスク〕
成人では、短時間睡眠(睡眠不足)による健康への悪影響について注目されてきましたが、高齢世代においては、むしろ長時間睡眠による健康リスク(死亡リスク)の方がより強く現れることが、多くの調査結果をまとめて解析した研究で示されています。
この研究では、7時間未満の短時間睡眠による将来の死亡リスクは1.07倍であるのに対し、8時間以上の長時間睡眠による将来の死亡リスクは1.33倍と著しく増加することが報告されています。
最近の大規模調査研究では、長時間の睡眠(9時間以上)がアルツハイマー病の発症リスクを増加させることが報告されています。長寝をしても、実際に身体が眠れる時間が増えるわけではなく、むしろ入眠に時間がかかり(入眠困難)、途中で眼が覚めやすくなり(中途覚醒)、睡眠の効率が低下します。
そして、睡眠効率の低下により生じる睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)の低下から、休養を増やす必要性を感じて、長寝を助長する悪循環に陥りがちです。
近年の国民健康・栄養調査では、成人(40〜60歳未満)に比べ、高齢世代では睡眠時間が長くなる傾向があります。高齢世代では、加齢に伴い、生理的に必要な睡眠時間が減少するとともに、睡眠・覚醒リズムを司る体内時計の加齢性変化の影響から昼夜のメリハリが低下します。
昼夜のメリハリが低下すると、日中の活動量の減少及び昼寝時間の増加をもたらしますが、30分以上の昼寝を習慣としている人は、昼寝習慣がない人と比べ、将来の死亡リスクが1.27倍に増加することが報告されています。
また、長い昼寝、頻回の昼寝は、夜間の睡眠の質の低下と関連し、認知機能の低下リスクも増加させることが報告されています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕