素食のすすめ4 魚の脂肪なら安心して食べられるのか

肉も魚も良質なたんぱく質の代表的なものですが、脂肪酸の種類を比べてみると肉には飽和脂肪酸が多く、魚には不飽和脂肪酸が多くなっています。飽和脂肪酸を摂取しすぎると動脈硬化のリスクが高まることから、いわゆる血液ドロドロ系の脂肪酸と呼ばれています。

これに対して不飽和脂肪酸は血液サラサラ系の脂肪酸で、動脈硬化のリスクを下げてくれるものです。それもあって、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、摂取する総エネルギー量のうち脂肪からは20〜30%で、そのうち飽和脂肪酸は7%以下とすることが推奨されています。

日本人の食事というと、歴史的には肉ではなく魚を食べていたというイメージがありますが、魚を多く食べられるようになったのは戦後に食品の流通網が発展した昭和30年代からです。それまでは海岸や川の近くに消費地が集中していましたが、戦後には流通網が発展して、冷蔵技術が進んだこともあって、全国各地に魚介類が届けられるようになりました。

終戦から5年後の少し肉食が増えてきた1950年(昭和25年)に比べて、現在の肉類の摂取量は6倍にもなっています。このように、肉食の増加によるたんぱく質の摂取量が増えるにつれて血管が丈夫になり、心疾患(心臓病)と脳血管疾患による死亡者は減っていきました。

現状では高齢化が大きく進んだことから死因も変化をしてきて、厚生労働省の人口動態統計(2023年)では、1位は悪性新生物(腫瘍・がん)の24.3%、2位は心疾患の14.7%、3位は老衰の12.1%、4位は脳血管疾患の6.6%となっています。

魚を食べることは、これらの疾患の予防に役立つことが期待されるところですが、水産白書(2023年度版)によると、1人当たりの魚介類の消費量は2001年度の40.2kgから2022年度には22.0kgと過去最低になっています。

これに対して増加傾向が続く肉類は34.0kgにもなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕