発達栄養学1 発達障害の支援活動

発達障害は子どものときに診断され、その対応も子供に集中していることから、子どもの疾患であると認識されがちです。子ども(18歳以下)に限ると、すべての子どものうち発達障害児は10%ほどと推測されています。

発達障害は生涯にわたって特性が継続します。成長して社会への対応力がついてくると、特性は目立たなくなることがあるものの、特性がなくなるわけではありません。その特徴からすると成人も含めて、発達障害がある人は全国民の10%に達していても当然のことです。

認知症患者は、2024年の段階で675万人と推測されており、2050年には1000万人に達すると考えられています。これは国民の成人人口の10%に当たります。
認知症は高齢化が進む中、さらに増えていくことが予測されますが、発達障害児も増え続ける一方です。

発達障害がある人に対しては、発達障害者支援法(2016年8月1日施行)によって、さまざまな支援が行われているものの、その規模と質は認知症への理解と支援に比べると大きく遅れていると言わざるをえません。

認知症対策としては、認知症基本法(共生社会の実現を推進するための認知症基本法)が2024年1月1日に施行して、これまで以上の支援が期待されています。

支援の基本となるのは、理解の浸透です。認知症については、厚生労働省によって2005年に認知症サポーター制度が設けられました。正しい知識と理解を持って、地域で認知症やその家族に対して、“できる範囲”で手助けすることを目的としたもので、その数は1300万人にも達しています。

それに対して、発達障害の知識と理解を進める活動は、いまだに手付かずの状態です。認知症と発達障害の、どちらが重大な社会問題で、どちらを優先させるべきかという議論はひとまず置いておき、認知症サポーターとまではいかなくても、“できる範囲”で発達障害サポーターをスタートする必要を多くの方が感じているところです。

国や自治体による公助は先のこととして、まずは地域の有志からであっても共助として始めて、自助になりがちな発達障害の支援をスタートさせることが望まれます。

発達障害は、さまざまな要因があり、子どもの栄養状態、妊娠中の栄養状態、さらには母親の成長過程での栄養状態が関係することも指摘されています。栄養摂取が原因ではないとしても、栄養摂取によって状態を改善させることは可能です。

発達障害は生涯にわたって継続するものであり、成人以降でも栄養状態が発達障害の現れ方に影響をしていくことは明らかです。

発達障害児では、食に関わる困難さが指摘され、その改善の取り組みが保育・教育の現場などでも行われています。生涯にわたる特性ということを理解して、子どものときから成人、そして高齢者に至るまで、栄養摂取での対応をすべきであるとの考えをもって、発達栄養学を推進しているところです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕