健康デザイン73 中性脂肪値対策のウォーキング

血液中の中性脂肪は、ブドウ糖と並ぶ重要なエネルギー源です。私たちの身体は、普段から、その二つのエネルギー源を使って活動のためのエネルギーを作り出しています。個人差はあるものの、平常時には 「ブドウ糖60%:脂肪酸40%」くらいの割合で使っています。

脂肪酸は中性脂肪の構成要素で、グリセリド1個に脂肪酸3個が結びついたのが中性脂肪です。

運動をしたときには、すぐに大量のエネルギーが必要になるので、代謝しやすいブドウ糖を多く使います。そのため、エネルギー配分は「ブドウ糖80%:脂肪酸20%」くらいに変わります。

しかし、ブドウ糖は10~15分間しか大きなエネルギーにはならないので、その時間を過ぎると脂肪酸へと主に使用するエネルギー源が切り換わります。エネルギー配分では「ブドウ糖35%:脂肪酸65%」くらいになります。

血液中の中性脂肪が多い場合には、10~15分を超える運動時間が必要で、できれば30分以上のウォーキングをするようにしたいという根拠とされています。

有酸素運動は30分間続けることで、15~20分間の脂肪燃焼ができるわけですが、30分間のウォーキングの時間が取れないときには10分間のウォーキングを1日に3回行うことでも同様の効果が期待できます。

10分間のウォーキングでは脂肪の減少が少ないように思われるかもしれませんが、そのときにも脂肪酸が20%ほどは使われています。それに加えて、運動を終えてからも筋肉の中にある脂肪分解酵素のリパーゼが働いている30分間は脂肪酸が代謝し続けています。

1日に1回のウォーキングよりも、3回に分けて歩いたほうが運動後の脂肪減少の機会が3倍になっているので、中性脂肪の減少に、それほど大きな差は出てこないのです。

ウォーキングによって、内臓脂肪がエネルギーとして使われやすいのは全力で運動をしたときの50~60%の負荷がかかった状態です。歩くスピードとしては、スタスタという感じで、腕を前後に大きく振りながら、歩幅も広くする歩き方が、これに当たります。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕