「よーく考えよう、お金は大事だよ」というのは生命保険会社のテレビCMで有名になったフレーズで、子どもウケしやすいこともあって、この曲がテレビから流れると子どもが釘付けになり、子どもの口を通じて家族の記憶に刷り込まれやすい効果があります。
このテレビCMが流れるたびに感じるのは、本当に大事なのは「お金」ではなくて「時間」だということです。何度か聞いているうちに、「よーく考えよう、時間は大事だよ」と聞こえてくることもあります。こういったこともあって、つかみとして講習やセミナーの第一声にも使いやすいフレーズです。
お金は後になって取り戻すことはできたとしても、過ぎ去った時間は取り戻すことができません。自分にとっての大切な時間、チャンスをつかむための時間は、まさに今しかないわけです。
これもテレビCMで有名になったフレーズの「今でしょ!」に通じるところがあります。これは有名な塾講師が「じゃあ、いつやるか? 今でしょ!」とキラーフレーズとして使い始めた言葉で、2009年には新語・流行語大賞にも選ばれています。
時間は大事で、できるだけ無駄に使うことがないように、というのは、人生の残り時間があまり残されていない人だけでなく、大活躍が求められる働き世代にも、目的に向かって学んでいる子どもたちにとっても同じことが言えます。
そう感じて、そのように行動しようと思っても、それを邪魔する人がいて、思ったように進められなくなることがあります。そのような人を表す言葉として使われているのが「時間泥棒」です。
時間泥棒は、他人の時間を盗もうとして近づいてくることは少なくて(絶対にないとは言いにくいところがあるものの)、本人は盗んでいる意識がないだけでなく、むしろ役に立つと思って時間を取らせたり、最も時間を盗まれたくないタイミングに限って近づいてくることがあるので困ってしまうことがあります。
時間といっても、まとまって何時間も使うようなことではなく、毎日は少しずつであっても、それが積み重なってくると大きな被害をもたらす損失にもなります。自分が毎日の習慣として納得して実施していることが、あとになって想像していたような効果がなかった、実は無駄なことをしていたということに気づいても、それは大した被害ではないはずです。
ところが、この方法がよい、それを習慣づけることがよいと言い、その裏付けとして自分の経験を引き合いに出して、言葉はよくないかもしれませんが押し付けるようにして他の人に実践させることを喜びとしている人もいます。
その人にとっては、よいことを広めているつもりなので、何も他人を困らせるようなつもりはないということが多いのですが、そこで思い出した言葉があります。
それは「小さな親切、大きなお世話」という時間泥棒の被害について、私に話してくれた方が口にしていた言葉です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕