一緒に仕事をすると言って期待をさせておいて、そのまま何もしない、何もさせないということなら大した被害はなくて、時間を無駄にさせられたという一時期の感情だけで済む話かもしれません。
ところが、離れるわけにもいかず、かといって続けたくても進まないという状況になり、それが長く続くと、これは時間泥棒に匹敵することになります。
人の大事な時間を奪うような行為というと、仕事をさせて報酬を支払わなかった、大きく減額させたということだけでなく、約束をすっぽかす、約束した時間に遅れてくるということもあげられます。
他にも、中止することがわかってもすぐに連絡しない、遅れてくる連絡をしない、約束した時間より早く切り上げられる、といったこともあります。
さらに1対1での話だったはずなのに他の人が同席して充分な話ができなかった、事前に資料に目を通していくということだったので資料を送ったのに見ていなかったということもあります。
このようなことは何度ということでは済まず、少なくとも100回は経験しています。
携帯電話や通信アプリがなかった時代ならまだしも、今の時代に時間に関しての約束を違えて、他人の大事な時間を奪うことをしなくてもよいはずなのに、そんなことを繰り返す人、それをそんなには悪いとは思っていない人は少なからず存在しています。
もっと困った人は、同じ「待たせる」でも約束時間ではなくて、仕事を振っておいて、もしくは途中までやらせておいて、途中から連絡が来なくなる、こちらから連絡をしても返事がなくなるといったことがあります。続けるのか止めるのかだけでも連絡をしてほしいのに、その連絡も来なくなるという人さえいます。
待たされているほうは時間を無駄にされているような感覚があったとしても、待たせているほうは特に被害もなければ痛みを感じることではないので、これは「足を踏んだ人は踏まれた人の痛みがわからない」というのと同じようなこととなります。
その間の時間に仕事や作業はしていなかったとしても、待たされている間は泥棒をされている時間と同じことです。他のことをして時間を効率的に使えばよかったのではないか、と言われることもあるのですが、何も用件がない時間と待たされている時間では、もしも仕事をしていたとしても気持ちも効率も違ってきます。
途絶える前の用件にかかった時間だけでなく、それに待たされている間の時間の重要性を伝えても、ほとんどの時間泥棒をしている人はピンときていないというのが実情です。一人ひとりの時間の被害は少なくても、その人が周囲の人にしていることを合わせると実は社会的に大きな被害を与えていることになります。
そのことを直接指摘しても、自分のことを言われているのだと気づかない人もいて、こうなると考えるだけ無駄という気持ちになって離れていくことにした人も少なくないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕