ファスティング1 ファスティングの本当の意味

ファスティングはダイエットや健康、美容を目的とした食事療法の一つとして知られています。ファスティング(fasting)のもともとの意味は断食、絶食です。

食べすぎ、飲みすぎによる体調不良だけでなく、日頃の食生活の蓄積による心身の疲労を改善する方法として、古くから医療を補う方法として生活に取り入れられてきました。特に盛んに行われてきたのはヨーロッパの各国と、その流れを注いでいるアメリカ大陸の各国です。

フランスでは「ファスティングはメスのいらない手術」、ドイツでは「ファスティングで治せない病気は医者でも治せない」と表現されています。ドイツでは現在も医療行為の一環としてファスティングは医療保険の対象となり、肥満が強く影響する心疾患(心臓疾患:心筋梗塞、狭心症など)を改善する効果的な方法であることが広く認識されています。

また、アメリカでは「すべての薬で一番良いのは休息と断食である」と表現され、断食と同時に休息をとることが医薬品に勝る効果があることを示しています。

ファスティングが断食や絶食を意味することからわかるように、摂取を抑えるのは固形物であって、飲み物を減らすようなことはありません。もちろん、ここでいう飲み物にはアルコール飲料や刺激物(コーヒーなど)は含まれていません。

固形物を摂らずに断食することによって消化・吸収に働く胃腸を休め、吸収された栄養成分が運ばれる肝臓をはじめとした臓器を休めることによって臓器などの機能を回復させることがファスティングの初めの目的となります。

食事で摂取したエネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質は、適正な範囲の量であれば、全身の細胞における代謝は正常に行われます。ところが、エネルギー源の摂取が多くなりすぎると代謝のために使われるビタミンやミネラルなどの成分が過剰に使われるようになります。

その結果として重要な栄養成分が不足することになり、代謝が低下するようになります。人間の身体はエネルギー源からエネルギー物質を作り出す代謝(エネルギー代謝)が正常に行われることによって生命活動が維持されています。代謝を正常に戻すためにもファスティングは効果があります。

食事によって体内に入ってくるのは栄養成分だけではありません。食品には有害物質も含まれています。有害物質が体内に蓄積されると細胞の代謝が低下します。有害物質を体外に排出するのがデトックスで、そのデトックスの効果を高めることもファスティングには求められています。

このように身体に負担をかけるものを極力減らし、身体に蓄積された余分なものを排出することによって、細胞レベルから全身を大掃除するのがファスティングです。細胞レベルからの大掃除というのは、全身の細胞の働きは、その細胞の中で作り出されたエネルギーだけで成り立っています。細胞内で発生したエネルギーは、電気のように他の細胞に伝わって行くようなことはありません。

全身の健康をかなえるためには、全身の細胞を正常に働かせ、細胞内で作り出されたエネルギーを使って、全身に60兆個以上あるとされる一つひとつの細胞の働きを最高レベルに高めておくことが重要となります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕