健康デザイン74 コレステロール対策のウォーキング

LDLコレステロール値が高い人は、運動をすることをすすめられます。中性脂肪は運動によって減少しやすい脂肪なので、運動をする意味も理解しやすいのですが、コレステロールは運動によって燃焼するタイプの脂肪ではないので、その意味がわからないと運動を続ける気持ちにならないかもしれません。

悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロールは運動をしたからといって直接的に減るものではありませんが、善玉コレステロールとも呼ばれるHDLコレステロールとLDLコレステロールはバランスを取っていて、HDLコレステロールを増やすことで、LDLコレステロールを減らすことができます。

運動によってHDLコレステロールが増える理由ですが、HDLコレステロールは肝臓の血流がよくなり、末梢の血管の血流がよくなることで合成が進んでいきます。ウォーキングは全身の血流を盛んにする働きがあり、肝臓の血流も盛んにすることができるからです。

HDLコレステロールを減らす要因として運動不足や喫煙、糖尿病などがあげられていますが、これらは末梢の血流を低下させるものばかりです。末梢の血流が悪いとHDLコレステロールが作られにくくなるので、全身の血流をよくする有酸素運動のウォーキングは効果的です。

LDLコレステロールが増えるとHDLコレステロールが増えるというバランス調整は、中性脂肪値が正常であることが条件となっているので、血液中の中性脂肪が多い人は、ウォーキングによって中性脂肪をエネルギーとして代謝させることで、HDLコレステロールを増やすことができるようになるのです。

有酸素運動とコレステロール値の関係については、さまざまな研究が行われ、HDLコレステロールを増やすためには、1週間に900kcal以上のエネルギーを消費する運動をすることが効果的です。また。30分以下の運動では効果はないものの、それ以降10分間増えるごとにHDLコレステロール値は約1.4mg/dlずつ増えるとの発表もあります。

厚生労働省のエクササイズガイドによると、スタスタと勢いよく歩く速歩を体重60kgの人が1時間(約6000歩)で約1400kcal、70kgの人では約1700kcalとなります。900kcal以上の運動なら週に4~5回、10分ずつのウォーキングでもよいことになりますが、30分以上の運動でHDLコレステロールが増えていくということなので、週に1~2回、40分以上のウォーキングをするのがよい、ということになります。

しかし、これは普段の歩行数が多めの人の場合です。厚生労働省の国民健康・栄養調査では、1日あたりの歩行数とHDLコレステロール値の関係を男女別に調べています。これを見ると、歩行数が8000歩を超えるとHDLコレステロール値が顕著に増えています。

女性は男性に比べて、歩行数が少なめの人であってもHDLコレステロール値が高く、歩行数が増えた場合のHDLコレステロール値の上昇の傾向も大きくなっています。男性は女性に比べるとHDLコレステロールが少なく、ウォーキングの効果も出にくいので、できるだけ機会を見つけて、歩くように心がけたいものです。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕