行動を批判されると、それに対して自分は正しいと考え、その主張を変えようとしない利得型の自分は正しい症候群について、前回(忘れる脳力18)考察しました。
それは批判されることが嫌ということよりも、「自分は批判される対象でないのに、なぜ批判されるのか」と考え、批判する側を批判、攻撃するということで、こういったタイプを実際に目にする機会が増えました。
こうした人が増えている中で、「自己愛型」の自分は正しい症候群も増えています。これは自分を守ろうとする行動と勘違いされることもあるのですが、自分がやっていることを認めてもらいたい欲求が強くなっています。
それが満たされないと諦めることはしないで、もっと認めてもらいたくなる、認めてもらうまでやり続けるという特徴があります。この認めてほしい行動は「かまってちゃん」と表現されることがあります。
ただ自分がやっていることが認められないことに不満があるということ以上に、頑張った自分を認めてもらい、他人よりも優位に立ちたいという自己愛が猛烈に強く現れるようになります。
そのために自分の価値観や正しさを周囲に押しつける行動をしがちで、自分の能力や経験を自慢するような行動もよくみられます。そのためには、自分を認めてくれない人を貶めるようなことで、自分の優位性を示そうとする場合もあります。
発達障害児の支援をする中で、保護者(中でも母親)には、子どもの相談をする場、交流の場、学びの場で、対応法を聞いてくるのではなく、いかに自分が頑張っているかを示す場として参加する人がいることを経験しています。
発達障害について学ぶだけ学んで、それでも認められないと、もっと頑張る、しまいには、それだけ頑張るだけの時間があるなら、子どもと一緒の時間を増やしたほうが良いのではないか、ケアにかける時間を増やすべきでは、と言いたくなるようなこともあります。
今のように情報は手のひらで入手できる時代、自分のことを表現することができる時代だけに、自分が満足できるだけの情報が入らない、自分が満足できるだけの発信に対するリアクションがないと、それが自分は正しい症候群に拍車をかけることにもなるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕