厚生労働省から、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が発表されました。
以下に、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の「良質な睡眠のための環境づくりについて」の各項目を紹介します。
〔光の環境づくりで大切なこと〕
起床後に朝日の強い光を浴びることで体内時計はリセットされ、睡眠・覚醒リズムが整い、脳の覚醒度は上昇します。日中に光を多く浴びることで夜間のメラトニン分泌量が増加し、体内時計が調整され、入眠が促進されます。
これらの効果は1000ルクス以上の照度の光を日中に浴びることで得られますが、朝目覚めたら部屋に朝日を取り入れ、日中はできるだけ日光を浴びるように心がけることで、就寝時の速やかな入眠が期待できます。
就寝の約2時間前から睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が始まります。それ以降に照明やスマートフォンの強い光を浴びると、睡眠効果のあるメラトニンの分泌が抑制されることから、睡眠・覚醒リズムが遅れ、入眠が妨げられることが報告されています。
現在社会では、夜間に照明の光を浴びることは避けられませんが、日中に光を多く浴びることで、夜間の照明の光による体内時計への悪影響が減少することが報告されており、1日を通して光環境を整えることは、良質な睡眠を確保するために重要です。
寝ている間は、低い照度の光でも中途覚醒時間を増加させ、睡眠の効果を下げることが報告されており、寝室の照明にも配慮することは重要と考えられます。観察研究の系統的レビューで、夜間の光暴露が睡眠障害と関連していることが報告されています。
近年の照明器具やスマートフォンにはLEDが使用されており、体内時計への影響が強い短波長光(ブルーライト)が多く含まれているため、寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠に寄与します。
高齢者は夜間にトイレに行くことも多いため、転倒しないように間接照明や足元灯などを活用し、眼に入る光の量を減らす工夫が重要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕