健康デザイン75 血圧対策のウォーキング

血圧は内臓脂肪の蓄積によっても上昇します。内臓脂肪が蓄積すると悪玉の生理活性物質のアンジオテンシノーゲンが分泌されます。この生理活性物質はインスリン抵抗性を引き起こして血糖値を上昇させることが知られていますが、それと同時に血管を収縮させ、さらに血液中の塩分濃度を高めるために、血圧を上昇させます。

肥満になると、血管の外側にある脂肪細胞が膨らむことになり、血管が圧迫されて血液が送り出されたときに弾力をもって膨らみにくくなります。そのために血液による圧力が血管に強くかかるようになって、血圧が高くなっていきます。

また、肥満になると、脂肪細胞の中にたまっている脂肪を血液中に放出するために、自律神経の交感神経の働きが盛んになり、脳からアドレナリンが多く分泌されるようになります。アドレナリンは血圧を上げるホルモンでもあるので、多く分泌されるほど血圧は上昇していくようになります。

20歳のときよりも10kg以上も太った人は、脂肪細胞が肥大増殖型になっています。脂肪を多くためているのは正常な状態ではないために、常にアドレナリンが多く分泌され、常に血管が収縮して血圧が上昇することになります。

内臓脂肪を減らすのに効果があるのは有酸素運動です。有酸素運動は、その名のとおり、酸素を吸いながらの運動で、酸素を体内に取り込みます。脂肪を分解する働きをする酵素のリパーゼは酸素を使って筋肉細胞の中で代謝させています。

有酸素運動といえば、ウォーキングやサイクリング、ジョギング、エアロビクスなどがありますが、運動をしなれていない人にとってはジョギングやエアロビクスは体への負担が大きく、負荷がかかりすぎると通常の酸素摂取では間に合わずに無酸素運動にもなりかねません。

リパーゼは平常の体温では、それほど働きがよくはなくて、身体を動かして筋肉が温まってくると働きがよくなっていきます。歩き始めてから10分くらいまではブドウ糖が盛んに代謝していて、そのあとに脂肪が代謝していきますが、10分間という時間は筋肉が温まるまでに必要な時間でもあります。

有酸素運動は、無酸素運動に比べると血管への負担が少なく、血管の弾力性を高めることにも役立つので、血圧が高めの人でも安心して続けることができます。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕