発達栄養学4 変化に対応するための継続教育

発達栄養学は教育によって必要な方々に伝えていくことを目指しています。

発達障害は非常に対応が細かく、それぞれの子どもの特性、保護者の状態、生活環境などを充分に知って、百人百様の対応をしなければならないので、最もよい方法は個別面談、個別対応となるはずです。

さらに栄養の摂取については、家庭の事情や個人の感覚が重要な要素となっていることから、千差万別の対応が必要となります。そのことは充分に承知していながら、あえて教育講習の方式で進めていこうとしています。

個別の状況に応じて、困っていることとして相談を受けたことだけに答えるのは、発達障害児の栄養指導は大変だといっても、不可能ということではありません。栄養学に詳しいだけ、発達障害に詳しいだけということでは対応ができないこともあるでしょうが、その両方を熟知していれば、的確な指導をすることはできます。

しかし、その指導が、いつまで通じるかは、子どもによってわからないことがあります。子どものときには対応できたとしても、親元から離れて、生活環境が変わると、千差万別の対応を準備していたとしても、フィットしにくいことが起こります。

その例として“ストライクゾーン”という話をしています。通常の野球のストライクゾーンは左右がホームベースの長さとなっています。ルール上は、ボールがホームベースの端に少しでもかかっていればOKです。ストライクゾーンの上は肩とスボンの中間、下は膝頭の下となっています。こちらもボールが少しでもかかっていればよいわけです。

野球のストライクゾーンは上・中・下、左・中・右で9分割されます。その範囲に投げればストライクと判定されます。ところが、発達障害児ではストライクゾーンが狭くて、場合によっては9分の1の範囲でないとストライクとならない、つまりちゃんと反応してくれないことになります。その狭いストライクゾーンも変化をすることがあります。

これは発達障害がある人に共通しがちなことですが、食事の面においても変化が起こって、そのたびに対応を変えなければならないことがあります。その変化に保護者が対応できるようにするためには、しっかりと教育をしておく必要があります。

その教育も資格認定式の講習を選択しているのは、ずっと情報を出し続けて、そのたびごとの変化に対して継続支援をすることを考えているからです。

その教育の内容は、成人になってからも通用する個別対応の手法を取り入れています。そして、ここの対応事例が積み重なることで、さらに教育内容が充実していくとの考え方をしています。常に変化していくことができる体制こそが、発達障害の支援、中でも栄養面での支援には重要なことになるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)