水産白書(2023年度版)によると、1人当たりの魚介類の消費量が2001年度の40.2kgから2022年度には22.0kgと過去最低になったことを「素食のすすめ4」で紹介しました。
その理由としては、魚の調理には手間がかかり、骨を取り除くなどの食べにくさがあり、それに比べると肉(牛肉、豚肉、鶏肉など)は調理が簡単で食べやすいことがあげられています。しかし、実際の理由は、それだけではありません。
魚を食べようと思っても、価格上昇の問題があります。30年間も実質賃金が上がってこなかったという状況があり、それを超える価格の上昇は魚離れに拍車をかけることになります。輸入によって安い肉(質は別にして)が入ってくることを考えると、魚の輸入量は限られています。
船にかかる燃料費などが上昇していて、さらに今以上の上昇が予測される中で、漁獲量が減少して、これも魚の価格を押し上げる要因となります。
気象条件も大きな要因で、過去150年で気温が3℃以上も上昇していますが、海水の温度も変化して、海流も過去とは異なってきたことから、魚の回遊のルートが変わった、これまで日本の領海内で獲れていた魚が北方領土よりも北に移ってしまったということもあげられています。
そもそも海外(特に中国やヨーロッパ)で健康志向もあって魚の消費が増えて、円安の関係もあって買い負けするような状況では、さらに市場の魚が減り、価格が上昇していくというのは時代の流れであって、これを解消するのは大変なことです。
そのような状況も踏まえながら、健康面と魚の消費について考えていく必要があるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕