カルシウムは運動によって骨に定着しやすくなります。「太っていることは健康のためによくない」と当たり前のこととして言われていますが、一つよいことがあります。それは太っている人は骨が丈夫だということです。
骨は硬くて固定されたものというイメージがあるかもしれません。しかし、毎日、部分的に壊されて、また新たに造られています。骨には破骨細胞と骨芽細胞(増骨細胞)があって、破骨細胞が骨の古くなった部分を分解すると同時に、骨芽細胞がカルシウムやマグネシウムなどを材料にして骨を造っています。
骨芽細胞の働きがピークを過ぎると骨を造る力が衰えていくのに対して、破骨細胞の働きは、あまり変化がないので、50歳代になると骨密度は低下の一歩をたどることになります。
その低下を遅らせるには、骨芽細胞の働きが低下しないようにすることで、その方法としては骨の材料になる栄養成分(カルシウムやマグネシウム)の摂取とともに、運動が重要になります。
運動をすると足腰にショックが伝わります。ウォーキングでもよいのですが、平坦な道を歩くより坂道や階段の昇り降りのほうが骨に伝わるショックが強くなります。ショックが強くなると、それだけ骨を丈夫にしなければならないからと、骨芽細胞の働きが盛んになっていきます。太っているほうが骨は丈夫だというのは、太っていることで骨に荷重負荷がかかっているからだったのです。
階段を昇ることも坂道を昇り降りすることでも骨を強化する効果がありますが、平坦な道でも強化トレーニングにする方法があります。
一つは、一生懸命の歩き方と普通のスピードでの歩きを交互に繰り返す歩くサーキットトレーニングです。スピードを上げて歩いているときには骨と筋肉が刺激を受けて、普通に歩いているときには疲れを回復させながら歩けるので、長く続けることができます。
もう一つの方法はスロージョギングです。これは歩くのではなく、ジョギングのスタイルではあるものの、ゆっくりと進んでいく方法で、早歩き程度のスピードで走るものです。これは長く続けられて、脂肪燃焼効果がウォーキングの1.6倍以上もある上に、走るポーズであるために骨へのショックが強く、骨と筋肉を鍛えながら、さらにダイエット効果も高いという優れた運動法です。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕