早食いで太るのはダメなのか

早食いすると食べすぎる、早食いは太る、早食いは生活習慣病のよくない習慣、というようなことが言われます。病院の栄養士と付き合っていると(仕事上で)、患者には「早食いはよくない、時間をかけて食べましょう」と言っているのに、自分は早食いというのはよくあることです。“自分のことは棚に上げて”というわけですが、昼食の時間は給食の管理をして、食後には患者の栄養指導が入っているということで、食事に充分に時間が取れないというのはわかっています。
栄養士でも病院の管理的な立場の人になると、検食といって患者に提供した食事と同じものを食べてチェックをしなければならないので、できれば時間をかけて確認をしたいところでしょうが、“こんなにも早く食べる人がいるのか”と驚くような食べ方の連続で、こんな食べ方をしていて、よく太らないものだ、さすがに栄養のコントロールができている、と思わされます。
そのコントロールができていない、そもそも何がコントロールなのかわからないという人は、太るような食べ方をしたら、それこそ太る一方になってしまいます。
太る、太らないは食べ物の種類と量、つまり摂取エネルギー量だけで決まるように思われがちですが、食べ方が占める部分も大きく、その食べ方の中で早食いは特に大きな影響を与えています。食事は、ゆっくりと噛んで、と指導している一方で、食べているのか流し込んでいるのかわからないような食べ方では消化が充分に行われず、吸収も充分に行われず、そのためにエネルギー源を燃焼させてエネルギーとするために必要なビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)の吸収量も減って、代謝が低下することになるので、どうしても太りやすくなります。
年齢を重ねていって、食べても太りにくくなっている人、もともと太りにくい体質の人は、同じ量を食べても太る結果になってほしいと願っている場合も多く見受けます。太るためには早食いも一つの方法ではあっても、栄養の吸収が悪いのでは仕方がありません。エネルギー源のうち、たんぱく質は筋肉を作るのに必要で、筋肉が増えれば体脂肪が増えたようでも筋肉が脂肪の燃焼を進めてくれるので、無駄に太るようなことを抑えることができます。筋肉をつけるためには材料のたんぱく質を摂るだけでなく、筋肉を作るためのエネルギーにもなるATP(アデノシン三リン酸)を全身の細胞のミトコンドリアで作り出すことが重要になります。
このATPを効果的に作り出すために必要なのが三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。三大ヒトケミカルのサプリメントを摂ると脂肪燃焼が進むのでやせるというのは間違いがないことですが、それと同時に筋肉も増えるので、少し多めに食べて筋肉も脂肪も増やそうと考えたら、α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は充分に補うようにしたいものです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。