発達栄養学5 発達栄養の対象者

栄養摂取は生命維持の基本であり、成長にも身体の機能を正常に働かせていくためにも重要なことです。

栄養摂取というと一般には誕生後の授乳、生後5〜6か月の離乳食、そして離乳後の通常の食事から始まるものと考えられがちですが、受精直後から胎盤を通じて母親から栄養成分を受け取ることによって、身体と機能を正常に発育させるための細胞レベルでの生命維持活動が始まっています。

その細胞を増殖させ、全身の細胞を機能させるために、母親が食べたものをエネルギー源として細胞内でエネルギーを作り出しています。このエネルギーが多く作り出せるかどうかは、母親の栄養摂取の内容(質と量)にかかっています。

子どもの成長と発達のための栄養の改善については、母親の食生活から調べる必要があるということになります。

誕生後には、自らの消化器を用いて、食べたものの消化、吸収を行い、循環、代謝を経て、排泄までの経路をたどります。この一連の流れの中で、特に発達に必要なこととして注目されているのが全身の細胞の中で行われている代謝です。

エネルギー源からエネルギーを発生させる生化学反応は、それぞれの細胞の中で起こっていて、発生したエネルギーは、その細胞の中でしか使うことができません。そのため、全身の機能を高めるためには、全身の細胞に必要となる栄養素を摂る必要があります。

栄養摂取は、すべての年齢層に必要ですが、発達栄養は離乳後から高校生までの子どもは特に影響を受けやすいだけに第一対象としています。

これは成長期の子どもの期間を切り取っただけでなく、大人とは異なる身体を作りながら活動をするという特徴があり、特に成長のためのエネルギーを作り出す必要があるからです。内臓や器官が、まだ完成していない段階では、心身に害を与えるものに対する抵抗力が弱く、その対応も考えなければならないということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)