ドライフルーツの弱点を克服する

ドライフルーツはフルーツを乾燥させて、栄養を凝縮させたうえに、皮ごと食べられるので食物繊維も豊富で、さらに抗酸化成分が多く含まれていることから人気の食品となっています。人気の要因には甘くて食べやすいということもあります。
この甘いということが、食べすぎると健康効果を通り越して、マイナスにもなりかねないことが指摘されています。それは果糖とブドウ糖が多いことです。フルーツの甘さは砂糖のようなブドウ糖によるものではなく、果物に豊富に含まれている果糖によるものです。甘いものを食べるというと血糖値が気になりますが、血糖は血液中のブドウ糖のことで、果糖で血糖値は上昇しません。だから、果糖を多く摂っても健康上の問題はない、と考える人もいるようですが、果糖は食べすぎると血液中の中性脂肪値を大きく高めてしまいます。このことは動脈硬化のリスクを高めます。
もう一つのマイナス面は、ブドウ糖が多いことです。フルーツにはブドウ糖は少ないのですが、加工の段階で砂糖が使われているものがほとんどです。砂糖は果糖とブドウ糖が1対1の割合でできているので、砂糖の使用量が多いほどブドウ糖の量が増え、さらに果糖も増えることになります。
砂糖が使われるのは甘くして食べやすくするためではありません。砂糖を使わなくても充分に甘いものに、わざわざ砂糖を加えるのは軟らかくするためです。軟らかくなるのは砂糖に水分保持作用があるからですが、砂糖が水分を吸着することで全体の水分が減って菌の繁殖を抑える作用もあります。甘い菓子類や料理が腐りにくいのは、この作用のおかげです。
ドライフルーツで砂糖を使わないと水分が抜けすぎて硬くなることに加えて、菌の繁殖という衛生面も問題も出てきます。となると、ドライフルーツに砂糖を使っても血糖値が上昇しにくくする方法を考えれば良いことになりますが、それを可能にするのがシクロデキストリン(環状オリゴ糖)です。シクロデキストリンはブドウ糖が環状になったもので、オリゴ糖の性質があるのでブドウ糖として吸収されることはありません。
砂糖にα型のシクロデキストリン(ブドウ糖が6個)を10%ほど加えると血糖値の上昇が抑えられることが明らかにされています。その理由ですが、水溶性食物繊維であることから糖を胃から腸にゆっくりと運ぶことで血糖値の急上昇が抑えられることが一つにあげられます。もう一つは環状のオリゴ糖が他の糖を吸着して腸から吸収されないようにする働きです。
血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが多く分泌されますが、インスリンには血糖値を抑える働きと同時に、肝臓での脂肪合成を促進する働きがあります。血糖値が急上昇するとインスリンの分泌量も増えるので、どうしても太りやすくなります。
甘くて、食べやすくて、さらに血糖値が上昇しにくく、太りにくいという有益な新たなドライフルーツを作ることができるようになります。
シクロデキストリンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。