偽る脳力〔番外〕誰もやってこなかったことへの取り組み

これまで100回にわたって「偽る脳力」のタイトルで、連載コラムを書いてきて、101回目は、どんなことを書くことになるのかと自分でも楽しみにしてきました。

ところが、100回で自分の過去のことから、その裏付けとなること、今やっていることを書いてみて、新たなこととして何をするべきなのかが決まらない時間が長くなり、このまま足踏みをしたまま終わってしまうのではないかと感じたこともありました。

この考え、悩み、決断まで時間をかけることは、若い時であれば許されたことであっても、古希が目の前に迫ってきた段階では、できるだけ早く決めてスタートを切らないと、スタートダッシュの段階で息切れをすることにもなりかねないとの不安も感じています。

その一方で、「我が胸に問う」というキーワードが自分の中にはあって、自分が納得できるまで待つ、納得できたら目標に向かって、ひたすら歩み続けるということで、その準備として、ずっとインプットを続けてきました。

この年齢になると、まったく新たなことを始めたようでも、これまでにやってきたこと、やろうとしたことと違うことには踏み出せなくなることはわかっています。老いたというよりも経験と蓄積を重ねてきたことが邪魔をすることもあります。

「偽る脳力」で振り返ったことを、さらに読み返してみて、その中から自分がやるべきこととして2つのテーマが浮かび上がってきました。それを、ここで書いて決意を示すことにしました。

◎テーマ1「誰もやっていないこと」
これまでに誰も思いつかなかったこと、誰も始めていないことを実施するステージとして特定非営利活動法人セカンドステージ連盟を設立して、2024年7月8日に登記しました。

この名称の団体が他にないということだけでなくて、2025年から始まる定年退職年齢65歳の義務化、70歳まで働くことを希望する人の働く場を設けることの努力義務化の時代に則した健康づくりの活動を始めます。

◎テーマ2「誰もやらなかったこと」
必要性や重要性はわかっていても、誰もやってこなかったことは、新たなことを始めるよりも大変なことで、始められなかったことには理由があり、障壁も存在しています。それを承知していながらスタートさせるのは発達障害サポーターの養成です。

このモデルとしているのは国が進めてきた認知症サポーターで、認知症と軽度認知障害を合わせた数は2025年には1035万人、2040年には1197万人と推計されています。それに対して、現在の認知症サポーターは1300万人を数えています。

認知症サポーターは認知症と軽度認知障害の理解を進め、優しく接する役割が期待されています。もちろん、数は多いほうがよいに決まっています。

これに対して発達障害サポーターは手がつけられてこなかったので、人数はゼロです。

発達障害は、すべての子どもの10%にも及んでいて、その特性は生涯にわたって続くので、国民の10人に1人は該当しているという状態です。

ナンバーワンではなくオンリーワンを目指すというのは、流行歌の歌詞ではないのですが、新規活動のテーマとしてはウケがよくて、発達障害児の支援を“お仕事”にしている人もいます。この“お仕事”は、真剣に支援をすることよりも、稼ぎが優先されている、言葉を変えると「発達障害児が“お金”に見えている」という人が少なからずいることから発している言葉です。

表向きに入っていることと異なる「偽る脳力」を発揮している人も少なからずいることから、番外のコラムとして書きましたが、そんなことを書かないで済むような時代が来ることを願っての文でもあります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕