発達栄養学6 発達障害の食事に関係する特性

普通に食べることができると思われているものなのに、それを口にしないのは一般的には好き嫌いととらえられがちです。ところが、発達障害のために食べられないのは、好き嫌いというレベルの話ではなく、生理的に受けつけない、身体が拒絶をしているという状態になっています。

これを理解せずに無理に食べさせようとすると、これがきっかけになって将来的に食べられなくなったり、無理に食べさせようとする親のことが嫌いになって、まったく食べられなくなるということにもつながりかねません。

どれくらいの拒絶反応であるのかを理解することは重要で、牛乳を飲めない子供に無理に飲ませることは、同じ色のバリウムを無理強いしているようなものと考えることができます。バリウムを飲んで胃カメラ撮影をしたことがない人でも、他の人の経験談を聞くだけでも苦しさは容易に想像できることです。

牛乳の味が嫌いであろうと想像して、ココア味やイチゴ味にしても、バリウムに味をつけても飲みにくいことには違いはありません。味を変えるだけでは、子どもの苦しさは弱まってはくれないのです。

牛乳が飲めない子どもには味に慣れさせるためにスポイト1滴からでも飲ませることが指導されることがあります。これは牛乳に慣れさえすれば飲めるという前提があるからです。しかし、発達障害の自閉症スペクトラム障害に多くみられる感覚過敏の子どもでは、視覚過敏のために白いものは眩しく感じて、見るだけでもつらくて飲むことができないという例もあります。

これとは逆に、白い食べ物、白い飲み物しか好まないという子ども多数もいます。
欧米では黄色いものしか飲食できないという子どもが多いのですが、子どもに摂ってもらいたい牛乳・乳製品、ご飯、うどん、パン、豆腐、魚のすり身などは白いために、これは幸いなことといえます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕