身体が冷えやすい体質の日本人は、身体を温めるということでは恵まれた環境にあります。それは温泉が各地にあるということです。温泉は火山の恩恵でもあるので、噴火の不安、地震の不安にも繋がるわけですが、今回は体質の話ということで、温泉のプラス面について触れます。温泉と家庭の風呂では同じ温度での入浴であっても身体が温まる、いわゆる芯から温まるという状態になることについては以前に紹介しました。
温泉に入るのはよいことであっても、家庭に温泉を引いてある環境でもなければ、好きなときに身体を温めるというわけにはいきません。温泉にはかなわなくても、家庭での入浴でも身体が冷えやすい人には充分な効果があります。しかし、いつでも好きなときに入浴するというわけにもいきません。
身体を温めるにはエネルギー源の糖質や脂質(脂肪)を燃焼させて体熱を多く作り出すようにすればよいわけで、そのためには運動が重要です。これについてが「運動選手でもなければ無理」という感想が大半でしょう。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準」によれば、日常生活による消費エネルギー量は運動による消費エネルギー量に比べると少ないものの、長く続けられることから全体の消費エネルギー量が多くなることが示されています。エネルギーの消費が多いということは、それだけ燃焼が進んで体熱が多く発生するということになります。
日常的な活動は重要であるといっても、1日の活動を見ると、あまり身体を動かしていない時間も多くあります。そのときにも基礎代謝としてエネルギーは使われているわけですが、この基礎代謝を高めることこそが全体のエネルギー量を多くするためのキーポイントとなります。
三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を燃焼させてエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を細胞内のミトコンドリアで効果的に作り出すためには、ビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)を欠かさないようにすることも大切ですが、それと同時に三大ヒトケミカルの補給も重要となります。
三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は、ミトコンドリア内でエネルギーを作り出すTCA回路(エンジンのようなもの)でATPを作り出すために必要なのもので、体内で合成されているものの20歳代をピークに減少し続けます。三大ヒトケミカルが充分にあれば普通に生活をしているだけでもATPが多く作られるようになり、運動や入浴の温熱効果も高めることができるようになります。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。