全国どこにいても自分が中心となって情報発信できるようになったのは、手のひら(スマートフォン)で情報発信できる便利なツールが発展しただけでなく、世界中の人にとって不幸なことであったコロナ禍を乗り切る中で、オンラインが多用されるようになったことも大きな要因としてあげられます。
インターネットの初期の段階(WEB1.0)では一方通行であった情報発信が、情報を受け取る側も発信することができる双方向の時代になりましたが、このWEB2.0の時代もインターネットのホームページがあればこその状態でした。
そこからスマートフォンとSNSの普及によって、それぞれの人が発信者となって独自のネットワークを構築することができるようになりました。このWEB3.0の時代は、誰もが“個人の意見”を自由に表現できるようになっただけでなく、情報を得た人がメディアの位置どりで発信できるようになりました。
スマートフォンとSNSの普及は、誰もがカメラマンであり、誰もが発信できる状態となり、これはプラス面もあればマイナス面もあるという状態になりました。
個人の発信方法は信用がおけるのかということでは、Facebookやブログ(Weblog)、X(旧Twitter)、Instagramなどはホームページに比べると、確かに信用の違いがあり、信じるに値するものではないと言いつつも、それが正しい情報のように拡散することにもなりました。
SNSはSocial Networking Serviceの略であるので、簡単にいえばインターネット上のコミュニティサイトです。自分で発信しているつもりでも、それは発信情報だけであって、サービスを提供している事業者の手のひらで、動いているだけということができます。
これは「西遊記」の主人公の孫悟空が筋斗雲に乗って十万八千里を飛び、天界の端に立つ五本の真ん中の柱に名前を記して帰ってきたところ、お釈迦さまの中指に書いただけで、手のひらから出ていなかったという逸話に通じるところがあります。
SNSの手のひらはサービス事業者であって、その中で自分がアップした文や写真は、自分のものではなくて他人が管理しているもの、事業者が消したり、仕組みを変えたら全部なくなってしまう情報だということです。
発信した情報は、自分のものとして継続させて、状況に応じて修正できることで安心することができます。といっても、これもインターネットが継続している前提での話ではあるのですが。
〔小林正人〕