厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の高齢者版の推奨事項の「よくある疑問と回答」を紹介します。
〔よくある疑問と回答〕
Q 高齢者に適した運動はどのようなものがありますか?
A これまではウォーキングのような有酸素性身体活動が強調されてきましたが、多様で複雑な動きを伴う運動も健康に役立ちます。例えば、筋力、バランス、柔軟性などの複数の体力要素を高めることができる運動(マルチコンポーネント運動)として、有酸素運動、筋力トレーニング、バランス運動などを組み合わせて実施する運動プログラムや、体操やダンス、ラジオ体操などの多様な動きを行う運動が有効です。WHOガイドラインでは、このようなマルチコンポーネント運動を週3日以上行うことが推奨されています。
Q 毎日40分では物足りません。もっと身体活動をしてもいいですか?
A 体力が十分にある高齢者では、成人と同量の週23メッツ・時以上(毎日60分以上の身体活動、あるいは1日8000歩以上)を目標にしましょう。推奨事項以上の身体活動で死亡率はさらに低下します。どの程度で“やりすぎ”になるかのエビデンスはまだ不十分ですが、整形外科的な障害や転倒、持病の悪化などのリスクがある高齢者では、年齢や健康状態に応じた適量の見極めが重要です。
Q 毎日6000歩も歩けそうにありません。
A 毎日6000歩は歩けなくても、少しでも身体活動をした方が健康によいことがわかっています。まずは今よりも10分多く身体活動をするように心がけましょう(プラス・テン:+10)。座位時間(1.5メッツ以下)を減らすことも重要です。家事(例:掃除、料理、洗濯)のような低強度活動(1.6〜2.9メッツ)を増やす、外出するといったことで自然と座位時間が減少します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕