日本人の体質研究は、日本メディカルダイエット支援機構の前身団体である健康科学情報センターの設立時から、ずっと続けてきました。健康科学情報センターの設立は1995年のことで、Windows95の年であることもあって、急速に発展した情報収集・分析・発信の大きなテーマとしてきました。
1995年は、日本人の死亡原因の1位のがんが急速に増え始め、心疾患(心臓病)が大きく減り、脳血管疾患が増えたことから、死亡原因ランキングが変化した(1位:がん、2位:脳血管疾患、3位:心疾患)記憶に残る年でした。
これは死亡統計が変更されたことも影響しているものの、脳血管疾患と心疾患を合計すると、がんよりも死亡数が多かったことから、「日本人の本当の死因1位は血管病」と言われました。血管に関わる疾患は食事内容が大きく影響することから、食事療法の重要性が再確認される年でもありました。
日本人の健康度を高めてきたのは栄養の改善であり、血管が弱かった日本人の体質が改善された結果であると同時に、体質の限界を超えるような栄養摂取(特に脂肪摂取)が増えると血管病に苦しむ人を増やす結果になるのではないか、という考えもあって、日本人の体質に合わせた栄養摂取が強く訴えられるようになりました。
それに合わせるように、臨床栄養や薬学、運動科学などの専門家との連携によって日本人の体質研究を始めて、10年ほどで日本人の体質の全容が見えてきました。ゲノム研究も進展していた時期であって、どんな遺伝子が体質に関わっているかも全容ではないものの、その概要もわかることが数々ありました。
この内容は健康関連の法人機関誌などに提供するとともに、2冊の書籍の主要部分として、公表してきました。しかし、それを出し続けてよいのかと躊躇するようなことになっています。
というのは、日本人の体質研究に合わせた生活改善が通じない人が、ここのところ目立って増えてきたからです。これは日本人の体質が変わってきたのか、それとも日本人そのものが変わってきたのか、これを解明しなければいけない状況になってきました。
そのために新たな研究を始めることになりましたが、その一部(ほんの一部かもしれませんが)を、ここで(連載コラムの形ではあるものの)書かせてもらうことにしました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕