競争社会の中にあって、順位をつけるのは当たり前、目指すのはNo.1、競争に勝たなければ意味がないというような状況を変化させようという意識が高まったのは2003年だという報告があります。
それは「No.1にならなくてもいい もともと特別なonly one」という歌詞が、あまりにも有名な国民的アイドルグループの『世界に一つだけの花』が大ヒットした年であり、曲名を知らなくても、「もともと特別なonly one」というフレーズの価値観は随分と理解されることとなりました。
この歌詞は作詞・作曲者の槇原敬之さんの世界観を表すものとして評価され、バブル崩壊から10年を経た“失われた10年”の意識の変化を表した社会観であるとも言われました。
国民的な意識の変化に影響を与えたとしても、それが実際の変化となるまでは期間がかかるのは当然のことですが、20年も経てば変化を実感することができるのではないかとの期待が抱かれたものでした。
ところが、20年を経た2023年を過ぎても、まだ対策が進んでいないことは複数あり、その例としてあげられるのが発達障害児の数です。対策が進んでいないどころか、発達障害が確認された子どもの数は増える一方です。
発達障害は、2003年当時の調査では小学生・中学生の中では3万人強という状態でした。それが最新データでは16万人を超えています。文部科学省が2022年に実施した『通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査』の結果では、約8.8%程度の割合で通常の学級に発達障害児が在籍していると報告されています。
現在の人口は小学生が約605万人、中学生が約318万人であるので、これから計算すると80万人の該当者がいても不思議ではない状況です。
先のデータは、すべての発達障害児を把握したものではないわけですが、10%に達しているということは以前から言われてきました。発達障害は子どもだけの状態ではなく、その特性は生涯に渡って続きます。
社会を生き抜くどころか、社会に馴染むことができない、コミュニケーションも限られた人とだけしかできないということも見られる発達障害が、国民の10人に1人の割合で存在するという事実を知ったら、「もともと特別なonly one」であり、「誰とも代わることがない尊い存在」である子どもたちを支援は、特性があっても活躍ができる社会を構築することであり、それ以前に発達障害の実態を知ってもらう活動だと強く認識しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕