「ネットワークビジネス」という言葉を聞いて、本来の意味である人をつないで情報や資産を互いに共有し合うビジネスを思い浮かべ、小さなネットワーク(パーソナルネット)をつないで大きなネットワーク(インターネット)として利用するビジネスだと理解する人は、かつては多く存在していました。
ところが、今では別の意味で使われることが増えてきたことから、マルチ商法(実際にはマルチまがい商法)のことだと理解する人が多くなり、本来の意味のほうを説明するときには、情報ネットワークビジネスやITネットワークビジネスと言わないといけないという困ったことも起こっています。
このような意味の取り違えのために、情報ネットワークとして健康に関わる情報や健康に関わる商品を販売することを目指して仕事の依頼をしたつもりであったのに、紹介された人が別の意味の“ネットワークビジネス”の関係者ばかりで話がおかしくなってしまった、ということがあります。
その両者から「困った!」という相談を受けて、それこそ困ってしまったことがあります。両者ともに健康食品の販売で知り合った人で、販売する先こそ違っていても、同じ知識と同じ認識がある人でした。
私が積極的に紹介したわけではなくて、私が講師を務めたサプリメント科学の講習の場に、両者が参加していて、知り合ったことを後で報告されて、互いに害になることはないだろうと以後の付き合いを反対しなかっただけのことです。
両方のネットワークビジネスの用語ともに、人が網の目のように関連をもって、商品販売を進めていくので、関係を断つのではなく、互いに活用するところは活用するといった関係性でもよかったのでしょうが、両者ともに直接的に求めたメリットを、すぐにもたらしてくれる人ではないと判断して離れていくことになりました。
既存のビジネスがあると、それに参加するという考え方をしていると、少しでも想像と違っていると離れるという判断をすることがあるのは普通のことかもしれません。しかし、既存のビジネスが誕生して、社会に受け入れられるようになり、今も続いているとしたら、そこには仕組みがあり、学ぶべきところもあるかもしれません。
その発想で、日本の独自のネットワークをビジネス化するモデルとなるものに、家元制度があります。これについては別の機会に考察することにします。
〔小林正人〕