腸と脳の関係には相乗効果があり、それを効果的に活かすことができればよいものの、うまく活かせないと悪循環にもなりかねないという問題点もあります。
脳神経の働きを調節する神経伝達物質のセロトニンは、幸せホルモンとも呼ばれていますが、これは自律神経の副交感神経の働きを高めてくれる働きをしています。交感神経は亢進作用があって、自動車でいえばアクセルに当たります。副交感神経は亢進しすぎを抑えるブレーキの役割とともに、生命維持の機能を調整する重要な働きもしています。
亢進に関わっているホルモンはアドレナリンやドーパミンがあり、これらが多く分泌されたときにはセロトニンを分泌させて身体の機能を調整してくれます。この重要なセロトニンが不足している人が増えていて、これは体調の不調を引き起こすことになっています。
副交感神経による調整は消化から始まっていて、唾液も胃液も分泌を盛んにするのは副交感神経です。胃で消化されたものを吸収する小腸の働きを高めるのも、腸の蠕動運動を進めるのも、最終的な排泄も副交感神経によって盛んになります。
また、吸収された栄養素などを全身に運ぶ血管は、副交感神経によって緩んで、血液の流れがよくなります。血管とつながっている臓器や器官の働きも正常に保っているのは副交感神経の働きです。
セロトニンは神経伝達物質なので、必須アミノ酸のトリプトファンを材料として使って合成されているのは脳だけと思われがちですが、脳で合成されるのは全体の10%ほどです。残りの90%ほどは腸内で合成されています。
腸内環境がよい状態でセロトニンの合成は進むので、腸内環境を整える副交感神経の働きが重要になります。副交感神経の働きをよくするのはセロトニンの働きということで、この相互作用がうまくいっていれば好循環になってくれるわけですが、一つだけ滞ったために悪循環になってしまうこともあるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕