75歳以上の高齢者ドライバーは運転の能力の判定として認知機能検査が実施されます。高齢者がアクセルとブレーキを踏み間違えたり、赤信号でアクセルを踏んだり、道路標識を無視したりということが多くなることから、認知機能を確認する検査で危険性がある人をあぶり出して、認知機能に問題がある人には運転免許証の返納を求めていくという制度です。
実際に、どんな検査が行われるのかというと、次の4つの項目です。
1 時間の見当識として年、月、日、曜日、時間を聞かれて正しく返答する
2 手がかり再生として4種類のイラストが描かれた4枚のボードを示され、16種類の中から楽器は、電化製品は、といったように描かれているものを返答する。
3 介入課題として言われた数字を斜線で消していく。
4 時計描画として時計の文字盤に言われた時間を描く。
医療機関で実施される認知機能検査の多くは長谷川式認知症簡易評価スケールという9項目が実施され、かなり記憶力を試されます。それに比べたら簡単な検査で、安心した人もいるかもしれませんが、本来の目的は運転能力があるかどうかの確認で、記憶力で判断できるのかという考えがあります。
運転能力は、アクセルとブレーキの操作、ハンドルの操作に加えて信号や道路標識の認知、他の車両や通行人への反応ができればよいというものではなく、思わぬ反応をする車両や通行人への対応ができなければなりません。
高齢者の歩行者は信号無視、急な飛び出し、左右の不確認が増え、自転車走行中のふらつきなど不規則な行動が多く、高齢社会は高齢者が高齢者に注意をしなければならないので、相当の反射能力が求められます。高齢になると、ただでも注意力、判断力、反射能力が低下していくので、認知機能だけでなく運動の能力が低下しない方法、さらに高める方法も求められます。
そのために効果があるものとして注目されているのがラケットスポーツです。ラケットスポーツは、その名の通りラケットを使って行う球技のことで、ボールやシャトルを行き来させて競うものです。普通にボールを打ち合っているだけでも、ボールが予測しない動きをしたり、対戦相手がフェイントをかけてきたりと、思わない動きがあり、それに即座に対応してボールを打ち返さないといけないので、身体と頭の動きを瞬時にコントロールする能力が求められます。さらに集中力、忍耐力、持続力といった能力も高めることができます。
この能力が、そのまま運転に活かされるので、ラケットスポーツは高齢者ドライバーの運転能力を高めるためにすすめられるスポーツとされています。
ラケットスポーツはテニス、バドミンドン、卓球などがありますが、高齢になってから始めるのは、なかなか大変です。そこですすめられているのが競技の基本は、それらのラケットスポーツと同じであるものの、用具やルールが簡単にできるようにアレンジされたもので、テニスのアレンジ系ではバウンドテニス、パドルテニス、エスキーテニスなどがあります。