運動をすると筋肉が強化され、若返ることができると言われますが、その理由としてマイオカインの働きがあげられています。マイオカインは“若返りホルモン”とも呼ばれていますが、マイオカインは筋肉内で作られます。マイオカインが増えると筋肉が若返るだけでなく、脂肪の分解や骨の強化、血糖値の低下、免疫の上昇、抗炎症、認知症予防の効果もあるということで、住民に運動の機会を増やすことをすすめている自治体などではマイオカインをモチベーション向上の切り口として採用しています。
マイオ(myo)は筋肉、カイン(kein)は作動物質を指していて、その造語であるマイオカインはホルモンというよりも若返り物質と呼ぶのが正しいのですが、全身の筋肉のうちでも下半身で多く作られ、中でも大腿四頭筋(太もも)と下腿三頭筋(ふくらはぎ)で特に多く作られるので、歩くだけでも増やしやすくなっています。筋肉が刺激されればされるほど多く作られるわけではなく、作られる量は決まっているので、無理をする必要はないということも自治体が採用する理由の一つとなっています。
筋肉は特に運動をしなければ減っていきます。その量は30歳以上では1年で約1%、65歳を過ぎると2%ほど減ってくるとされています。筋肉は繊維組織でできていますが、その繊維の数が減っていくのではなく、繊維が細くなっていきます。細くなるということは刺激をすれば太くすることができるわけで、日々の運動である歩行を増やすことで筋肉を増やせるわけです。
では、ただ歩けばよいというわけではなく、マイオカインを効果的に増やすためには筋肉内に酸素を多く取り込むことが必要で、そのための歩行法としてすすめられているのはインターバルウォーキング、つまり普通の速度での歩行と早歩きとを繰り返す歩き方です。
筋肉を増やすには運動を終えて30分以内にたんぱく質を摂ることがすすめられます。筋肉を増やすだけでなくマイオカインも増えることが知られていますが、その効果をさらに高めるために使われているのが三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。三大ヒトケミカルというと細胞のミトコンドリアの中でエネルギー代謝を行うために必要な成分なので、体脂肪や血糖(血液中のブドウ糖)を減らすことで注目されています。その効果に加えて、ミトコンドリア内でエネルギーを多く作り出すことから筋肉の強化も認められています。
筋肉を強化する物質としてはウルソール酸も知られています。ウルソール酸は植物に含まれている油性物質で、リンゴの皮に特に多く含まれています。日本メディカルダイエット支援機構の理事が代表の会社では地域の特産物のリンゴを用いて、運動をする人のためのサプリメントを開発しています。これをいつ摂るのが効果的なのかの研究が進められており、無理なく無駄のない使い方をするためにはインターバルウォーキングなどの運動と組み合わせた摂取法のプログラムを紹介していきます。