欺瞞錯誤11 種子の実態1

タイトルの「欺瞞錯誤」は私たちの造語で、欺瞞(ぎまん)は他人の目をごまかし、欺く(あざむく)こと、騙す(だます)ことを指しています。錯誤(さくご)は思い違いのことですが、認識と行動が一致していないことを意味する場合にも使われます。

錯誤は、どちらかといったら考えていることと行動が異なっていて、そのために誤った(不可抗力ではなくて、わざと間違える)ことをすることを指して、使われる機会が増えてきています。

この造語を使うようになったのは、農作物の自給率についての情報が本来の伝えられるべき内容とは異なること、重要なポイントが抜けていることから、これは欺瞞と錯誤ではないかと感じたことが始まりでした。

その欺瞞錯誤は、メディアが仕掛ける場合もあって、そのような情報を見抜いてほしいということを書きたいために、わざわざメディア情報の特殊事情を説明してきたところもあります。

日本の農業は種の研究開発によって、よりよい栽培品が数多く誕生してきました。“よりよい”というのは、おいしさや栄養素と同時に栽培しやすさ(成長性、病気耐性)、長持ち(店頭での販売日数)ということも含めています。

すべてがかなえられればよいものの、おいしさと長持ちを優先させたために、栄養素が低下したという例もあります。その例としてあげられることが多いのはトマトの品種改良です。見た目は同じであっても、実はビタミンが少ない、酸味が少ないということも起こっています。

酸味が少ないために、トマトソースを作りにくい、おいしいソースを作るために、以前の品種が求められるということが増えているのです。
〔小林正人〕