欺瞞錯誤14 卵の実態

卵(鶏卵)は品質も価格も安定していて、生産性が低下する夏場であっても変化はしないと言われてきました。

放し飼いをされている鶏であれば天候の影響を受けやすいものの、今のように卵工場と言われるような効率重視の生産体制だと変化は起こりにくく、卵の一般常識のまま発言をしても問題がないようなことが続いてきました。

これは卵用の鶏が暑さに弱くなったことも影響しています。鶏は卵から成長するので、“卵が先か鶏が先か”ということが言われますが、答えからすると鶏が先です。その卵を産む鶏は、ひよこの段階で海外から輸入されています、その割合は94%にも及んでいます。

国内で卵(有精卵)から生まれているのは6%でしかないわけですが、日本で鶏が産んでいる卵が自給率のベースとなるので、95%となっています。

ひよこは、どこからきているのかというと、フランス、カナダ、アメリカが多くを占めています。以前は東南アジアからの輸入が多く、その大半はタイが占めていました。以前の鶏は誕生した気温の関係から暑さに強かったので、夏場に卵の質が変わることは少なかったのですが、輸入地域の変化から暑場の卵の質が変わるようになってきました。

卵の“あるあるネタ”の中にLサイズとMサイズは正味重量が違っても、黄身の大きさに違いはないということがあります。正味重量はLサイズが約60g、Mサイズが約50gで、黄身の重量はLサイズが約19g、Mサイズが約18gです。

実際には違いはあるものの、これは誤差のうちということで「黄身の大きさは同じ」ということが言われているわけです。

ところが、ここ数年の猛暑の影響で、夏バテから鶏の食欲が低下して、夏場の卵は小ぶりになっています。また、黄身も小さくなっていて、これまでの“あるあるネタ”の通りにはいかなくなっているのです。
〔小林正人〕