肉類を多く摂ると、脂肪の摂りすぎから、血管に負担がかかり、これが動脈硬化のリスクを高める結果となります。動脈硬化が進むと、血流が低下しやすくなるわけですが、日本人の血液の温度の低さが、肉類を多く食べることのリスクを高めます。
日本人の血液の温度は37~38℃であるのに対して、動物の血液温度は羊が約44℃、鶏が約42℃、牛と豚が約40℃となっています。羊や牛などに含まれる飽和脂肪酸は、その高めの温度の血液の中で溶けているため、それよりも温度が低い人間の血液の中では固まりやすくなります。これが肉の“脂”が血液をドロドロにするといわれる理由です。
これらの肉類を多く食べてから数時間経つと、固まった脂肪酸が血液の粘度を高くして、血液が流れにくくなります。そのために、血液によって細胞に送られる酸素や栄養素の供給が低下し、細胞から排出される二酸化炭素や老廃物の除去も遅れるようになります。
獣肉類(牛、豚、鶏など)が恒温動物であるのに対して、魚類は棲息する環境によって体温が変化する変温動物です。魚類は水温に合わせて血液の温度が変化して、温かな海でも冷たい海でも生き延びることができます。
環境によって血液の温度に開きはあるものの、水の中に棲んでいるために人間の血液温度よりも低いのは当然です。その低い温度の中で溶けているのが不飽和脂肪酸であるため、それよりも温かな人間の血液の中では、さらに溶けやすくなります。これが魚の“油”が血液をサラサラにするといわれる理由です。
日本人は飽和脂肪酸が血液中で固まりやすいのに対して、血液の温度が高めの欧米人は動物の血液の温度に近いので、日本人よりも飽和脂肪酸が固まりにくくなっています。つまり、同じだけの脂肪が含まれた肉類を食べても欧米人は健康被害が出にくく、逆に日本人が肉食を増やすと脂肪による健康被害が出やすいということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕