発達障害は男性に多いことは以前から指摘されてきましたが、文部科学省の調査では男女比は2.4:1の割合と、男子が女子の2.4倍にもなっています。発達障害児は、すべての子どものうち10%に達しているとされることから、これを当てはめると男子で発見されているのは14.0%、女子では5.8%となります。
単純計算ではあるものの、発達障害児の割合では7:3で男子のほうが多いということになります。その理由として、女子の場合は家族が隠そうとしているのではないか、女子の性格的な特徴(男子に比べて自分の行動を抑えようとすることがあるなど)があげられてきました。
しかし、発達障害は、今や隠す状態ではなく、早期発見、早期対応が改善のためには重要であることが知られるようになってきて、男子が女子の2.4倍というのは実態を反映した数字という認識も強まってきました。
なぜ、男子のほうが多いのかの説明として有力となっているのは、女性ホルモンの影響です。受精してから胎内で人間の身体になっていく過程の研究は発生学と呼ばれています。受精後に人間の身体となり始めた段階では、外見的には男女ともに同じようになっています。
妊娠中は母親の女性ホルモンの影響を強く受けて、身体は女性型をしていて、男女の区別に使われる性器は女性型となっています。そこから男性は、自らの男性ホルモン(睾丸から分泌)によって、徐々に男性型へと変化していきます。
ホルモンの影響を受けるのは外見だけでなく、脳も男性ホルモンによって徐々に男性化していきます。この変化がスムーズにいけばよいのですが、女性ホルモンは抗ストレスホルモンでもあって、妊婦がストレスを強く受けると女性ホルモンの分泌量が多くなります。
妊婦は以前であれば大家族の中で安心して暮らすことができたのに対して、核家族の中では一人で不安を抱えながら暮らすことが多くなっています。また、現代社会のストレス過多も女性ホルモンの分泌量を増やすことになり、それが男児の脳に影響を与えやすくなっています。
男性の脳が女性ホルモンの過多によって男性になりきれないことから、さまざまな脳の発達にも影響が現れると考えられています。もちろん、これだけが原因とは限らないものの、脳の発達に偏りがあると障害は現れやすくなります。
発達障害の特性は生涯に渡って継続することから、誕生時の発達状態が一生涯の行動も左右することになります。男女平等の社会であるとはいえ、現実的には男性が主となる場面は多く、男性に発達障害が多いということは、個々の対応ではなく、社会課題として対応していく必要があるとの考え方をしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕