生活習慣病は、1996年に当時の厚生省(現在の厚生労働省)が成人病から呼称を変更したもので、「成人だけの病気ではなく、生活習慣が大きく影響している」と説明されました。
生活習慣病は、不適切な食事、運動不足、睡眠不足、飲酒、喫煙などの生活習慣が原因となる疾患の総称で、さまざまな病気が生活習慣と関連していることを明確に示しています。
生活習慣病と変えることで、病気は自己責任であるとの意識が高まりましたが、実際には生活習慣は病気の原因の一部に過ぎません。どんなに健康的な生活を過ごしていても病気になることがあり、逆に不健康な生活をしていても病気にならない人がいるのも事実です。
生活習慣病になった人は、不健康な生活を過ごしていたという誤解を招きかねません。すべてが自己責任でなく、健康を維持・増進するために努力しようにも実際にはできないことがあります。生活環境や経済環境も大きく影響を与えているのは事実です。
それと同時に、努力をしたくても「何をしたらよいのかわからない」「改善のための知識や情報が不足している」という人も少なくありません。
健康を維持するための方法は、厚生労働省をはじめとした官公庁の制度があり、それに従って広く健康に関わる医科学の学会、協会などによって発信されています。しかし、それは集団的なアプローチであって、個別の状況・状態に応じた的確な方法とはなっていません。
健康面での個別の対応というと、医師は診断結果に基づいて、個別の治療を行っていますが、病気と診断される手前の状態では治療は行われません。病気の予防のために医師が行うことは概要としてのアドバイスであって、必ずしも個別の指導ではありません。
個別の指導は、それぞれの専門家によって実施されているものの、総合的な判断がないままに、いわば“手探り状態”で取り組まれているのが実際のところです。このような状態を改善して、望むような結果を得るためには、総合的な判断ができる健康リテラシーの向上と、そのために必要な的確な知識と情報を得るための機会を設けることです。
そのような機会が与えられないまま、「生活習慣病は自己責任」「改善も自己責任」と言われるようなことがない社会を目指したいと強く認識しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕